杉戸農業高校の見学会に行ってきた。
このイベント、学校が主催したものではない。塾の先生が企画し、学校側と交渉し、知り合いの塾の先生方に参加を呼びかけ、実現したものである。いわば「押しかけ型の塾対象説明会」。
◆「ザ・農業高校」
埼玉県内に農業に関する学科を擁する学校が7校ある。
●熊谷農業
●杉戸農業
●秩父農工科学
●児玉
●いずみ
●羽生実業
●鳩ヶ谷
このうち、農業に関する学科のみで構成されているのが熊谷農業と杉戸農業の2校。だから学校名に農業を冠している。
秩父農工科学は、元々は農業高校だが、現在は工業や家庭に関する学科もある。森林科学科(林業科から改名)は県内唯一。いかにも秩父地方らしい学科だ。
児玉は、児玉農工を前身とする児玉白楊と、児玉が統合されたので、「普通科+農業+工業」という構成。
いずみはかつての「与野農工」。募集は生物系・環境系で「くくり募集」しているが、2年次から農業系と工業系の学科に分かれる。
羽生実業は、校名に実業のつく県内唯一の公立校。農業のほか商業に関する学科がある。
鳩ヶ谷は普通科と商業系の情報処理科に加え、農業系の園芸科がある。
以上に加え、学科としては総合学科だが川越総合も農業系の学校とみなされることもある。かつての川越農業であり、農場その他施設設備もそのまま引き継いでいる。
◆東京ドーム3.5個分
今や広さを表す単位となった東京ドーム。
これで言うと杉戸農業は東京ドーム3つ半の広さだ。伊奈学園が約3個分と称しているから、それより広い。もっともあちらは1学年800人の大規模校、こちらは1学年240人定員で3学年全部合わせても720人だから、生徒1人当たりの校地面積で言ったら圧倒的に広い。
昭和50年代、広大な農地を求めて現在地に移転してきた。跡地は杉戸高校となっている。
◆ハウス1棟4000万円
農業高校だから水田も畑も果樹園もある。
そして温室。これが何棟も立ち並ぶが1棟あたりのお値段が何と4000万円。
今どきの温室であるから最新テクノロジーの塊で、どうしてもこのくらいにはなってしまうようだ。その後の維持管理にも結構は費用がかかりそうだが、農業高校や工業高校は実習が命。施設設備の新設や改修は欠かせない。
◆農業女子
専門学科では、工業は男子、商業は女子のイメージが強いと思われるが、では農業はどうか。
実は農業は女子に人気の学科なのだ。
杉戸農業でも、学科により男女比にばらつきはあるが、全校的にはほぼ男女半々、年度によっては女子の方が多いこともある。
学科は全部で6学科。
●生物生産技術科
●園芸科
●造園科
●食品流通科
●生物生産工学科
●生活技術科
熊谷農業は生物生産技術科・生物生産工学科・食品科学科・生活技術科の4科体制。学科名称は同じでも熊谷と杉戸では学習分野・内容が異なる部分もある。
生活技術は、歴史をさかのぼれば農村家庭科と呼ばれた時代もあり、食物・保育・被服など家庭科に関する科目も学ぶことができる。
◆4学科で定員確保
令和7年度入試では6学科(定員各科40人)中、造園科と生物生産工学科で欠員補充を行ったが、他の4学科は定員を充たしている。
全県で6校18学科ある農業系学科のうち定員充たしたのは7学科で、そのうち4学科が杉戸農業だった(くくり募集のいずみと川越総合は除く)。全体として募集は順調だが、できれば全学科定員確保と行きたいところだ。
今日は私以外に9人の先生方が参加した。
皆さん農業高校をここまで本気で見学するのは初めてではないだろうか。
一体、どんな感想を持たれたのか気になるところだ。
私自身は農業科のある全7校をここ3年間で一巡している。
それでも内容が多岐にわたるので、まだまだ分からないことだらけだ。
今日もたくさんの新たな発見があった。
これを見れば杉農だけじゃなく農業高校そのものが分かる。
杉戸農業高校 公式Instagram
2023年開設。
総投稿数500件超
フォロワー数2472人(県内公立約80校中14位)

2025-10-03 at 17:09
昨日の杉戸農業高校の見学会に参加させていただきました。
昨日の終了後、他の塾の先生方のSNSを拝見しましたが、写真を何十枚も投稿されたり、何回にも分けて発信されいる先生もおり、今回の見学会が塾の先生方にいかに印象深いものであったかを改めて実感いたしました。
見学の途中で他の塾の先生方とお話をする中でも、日本の農業や農業高校に対するイメージが大きく変わったという声を多く耳にしました。特に、温室の管理をタブレットで行えるなど「農業のデジタル化」がここまで進んでいることに、多くの先生方が驚かれていたのが印象的でした。私自身も大きな刺激をいただきました。
また、個人的にとても印象に残ったのは、生徒さん方の元気な挨拶です。明るくはきはきとした声に、学校全体の活気を強く感じました。
お米の価格高騰など、日本の農業が曲がり角を迎えている今、食の基盤を支える学びをしている杉戸農業高校の皆さんの姿を見ることができたこと、大変光栄に思います。
今回の見学会の主催者として、杉戸農業高校の先生方、そしてご一緒させていただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。