昨日の続きである。
 定員を維持できているのは、それだけで一つのブランドでありステータスであるというのが昨日の結論だった。
 今日は、そこのところ、もう少し深掘りしてみよう。

◆市場の動向次第
 定員を維持できるかどうか。
 なおかつビッグサイズでありつづけられるかどうか。
 これは主として周辺のマーケット(市場)の動向による。
 地域の人口が減り、高齢化が進み、また小学校(小学生)、中学校(中学生)が減少している中にあって、高校だけが入れ物を完璧に満たすなど通常では考えにくいことである。(特に公立高校においては)

 規模が縮小したり、定員割れが常態化しているような学校は、埼玉の中でも過疎化・高齢化が進んでいる地域にあることが多い。
 規模の維持は、個々の高校の努力だけでは限界があるということだ。
 その点を確認しておいて、先に進めよう。

◆Lサイズ校は当面安泰か
 1学年360人または320人規模の学校は、当面安泰と見て良さそうだ。

 360人校では春日部東がやや苦戦している。第1回調査では直近4年間(今年を含む)で3回が定員割れからのスタートであり、最終倍率も1.0倍台が続いているが、何とか360人規模を維持して欲しいものである。この学校のもう一つの課題は県内唯一の人文科だ。数学は1年まで、理科は2年までで物理はなしという具合で文系(英国社)に全振りした学科なのだがいまひとつ人気が高まらない。文理融合などクソくらえとばかりに尖ったカリキュラムにさらに磨きをかけるか、それとも普通科に吸収してしまうか。結論を出す時が近づいてると思う。

 320人校では昨年度、坂戸西・所沢中央・松山が定員割れし欠員補充を実施している。
 坂戸西は一過性のものと見ていいだろう。
 所沢中央は少しずつ苦しくなっているようで、今年の第1回も定員割れしている。
 松山はかなり深刻な状態で、第1回での定員割れは今年で4年連続だ。普通科280人と理数科40人だが、普通科は240人が適正サイズかもしれない。
 松山女子も第1回は定員割れとなっているが、最終的には1倍を超えそうなので、もうしばらくは320人募集で行けそうだ。

◆Mサイズ校は苦戦続く
 1学年280人または240人規模の学校の中には、かつては320人募集に耐えていた学校もある。
 いったんダウンサイジング(規模縮小)すると、当初はいいが、少し時間が経つとそれさえも厳しくなるのはよくある現象だ。

 熊谷熊谷女子は今年320人から280人に減らしたが、第1回は定員割れだ。
 春日部女子久喜の両女子校もこの人数で苦戦している。
 好調なのは杉戸で、360人募集にも耐えられるほどの志願者を集めている。実力よりも人気が先行している形だが、そういう段階は必ずあるものだから、それはいい。学習面・進学面で実績を作って欲しい。

◆後がないSサイズ校
 募集定員が少なければ集めるのは容易、とはならない。
 集まらないからダウンサイジングしたのだ。
 そして、集まらない原因が、学校自体が広報も含め学校経営面で何か手を抜いたかというと、そんなことはない。
 頑張りが足りないのが原因なら、ただひたすら頑張ればいいだけの話だが、頑張っているのに集まらないところが悩ましいのだ。

 南部地区の上尾橘桶川西北本は定員割れ、欠員補充が常態化している。今年の1年生は3校合わせても279人だ。妻沼も120人募集だが1年生は105人。これらの学校、さらにダウンサイズを図ろうとすると1学年80人となる。さすがに少なすぎだろう。
 
 Sサイズ校(200人・160人・120人)27校のうち、今年第1回調査で定員を上回ったのは、大宮武蔵野1.04倍、庄和1.06倍の2校。その他の学校は、仮に、200人→160人、160人→120人というようにワンサイズ下げたとしても、大半は今回第1回の志願者数では定員を上回ることがない。ツーランクさげてやっと定員をオーバーできるかどうかといった状態だ。