昨日の記事で、生徒募集について、あるいは学校広報について、「採集型」「農耕型」という言葉を使った。
 きょうはこれにもう一つ加えようと思う。
 「森林型」である。

 「森林型」の広報は、目の前の志願者を集めるための活動ではない。
 育てるのは、学校のブランドである。

 ブランドという言葉を聞くと、有名校や難関校だけの話と思われるかもしれない。しかし、本来のブランドとは、知名度でも偏差値でもない。

「あの学校なら安心だ。」
「あの学校は誠実だ。」
「あの学校なら子どもを任せられる。」

 そうした地域や保護者、卒業生から寄せられる信頼の積み重ねこそがブランドである。
 ブランドは広告では作れない。
 毎日の教育活動、生徒の姿、卒業生の活躍、地域への貢献、教職員の誠実な対応。その一つ一つが何年、何十年とかけて積み重なり、ようやくブランドになる。
 その意味で森林なのである。

◆インスタは「募集ツール」ではなく「ブランド形成ツール」
 私が学校公式Instagramを強く勧めてきた理由も、ここにある。
 私は最初から、「フォロワーが増えれば志願者が増える」とは考えていない。
 むしろ両者は、それほど強く連動しない。
 SNSは募集活動そのものではない。
 学校と社会をつなぐ入口であり、最初の接点なのである。

 まず学校を知ってもらう。
 その中から学校に関心を持つ人が現れる。
 さらに学校を理解してくれる人が現れる。
 理解者の中から協力者が生まれる。
 そして、ごく一部ではあるが、学校を支えようという支援者へと育っていく。

 ブランドとは、このような人々の輪によって形成される。
 フォロワー数は入口の数字に過ぎない。
 本当に見るべきなのは、その先にどれだけ理解者や協力者が育っているかなのである。

◆三つの時間軸で学校を考える
 超少子化時代の学校広報には、三つの時間軸が必要になる。
 一つ目は、今年の受験生を対象とした「採集型」。
 二つ目は、中学1・2年生や小学生を育てていく「農耕型」。
 そして三つ目が、十年、二十年先の学校ブランドを育てる「森林型」である。

 森林は植えた人が収穫するとは限らない。
 苗木を植えた人が木材を使うこともない。
 次の世代、そのまた次の世代が恩恵を受ける。
 だから森林型広報も同じである。

 卒業生とのつながりを大切にすること。
 地域から信頼される学校になること。
 地域貢献活動を続けること。
 SNSを通して学校の日常を丁寧に発信すること。
 これらは、明日の志願者数には結び付かない。

 しかし、五年後、十年後、あるいは二十年後、「この学校なら安心だ」という揺るぎないブランドを育てていく。
 そのブランドが育てば、育てる広報も、目の前の募集活動も、今よりずっと少ない労力で成果を生み出せるようになるだろう。

 学校広報はイコール募集活動ではない。
 学校という森を育てる仕事なのである。

 採集型は「志願者」を集める。
 農耕型は「子ども」を育てる。
 森林型は「学校そのもの」を育てる。

 つまり、「森林型」で育てているのは子どもですらなく、学校のブランド、文化、伝統、地域との信頼関係という「学校という生態系」そのものなのである。