高校生徒募集において、10月はフェーズの転換期である。
フェーズとは「局面」や「段階」を少し格好をつけて言い換えた言葉である。
私立各校の10月以降の募集イベントをご覧いただければ分かるが、その中身は「説明会」から「個別相談」へと完全にシフトしている。
受験生の方も、模試の結果を手にしながら、保護者ともども本格的な「不安との戦い」に入って行く。
そこで、この時期、私立高校が受験生に提供しようとしているのは「安心感」である。
世間ではこれを「確約」と呼んだりしているが、学校側がその言葉を直接使うことはない。しかし、「普通に受けていただければ大丈夫です」という言質は、不安を抱える受験生と保護者にとって、これ以上ない救いとなる。
◆「安心感」がもたらすものは
受験生としては、たとえ併願校(場合によっては滑り止め校)であっても、学校側から「安心感」を与えられれば、大いに安堵する。
つまり、私立が心の拠り所となる。
そして、これが選択の逆転につながるケースも少なくない。受験生・保護者が「ここまでの『安心感』を与えてくれるなら、いっそ併願ではなく単願に切り替えてしまおうか」と心変わりするのは、秋の入試戦線ではめずらしいことではない。
マーケティングの観点から言えば、公立高校にとっては、「安心感」を武器に切り込んでくる私立との本格的な戦いが始まるのが秋の入試戦線なのである。
◆合否だけではない、もう一つの「安心感」
入試広報における「安心感」は、単に合否や数値的な基準(確約)のことだけを指すのではない。
「この学校なら3年間、楽しくやっていける」という居場所の安心感
「この学校なら自分の個性を伸ばせる」という成長の安心感
「この学校なら希望する将来が開ける」という進路の安心感
これらも含めての「安心感」であることを忘れてはいけない。
個別相談やこの時期の説明会において、パンフレットをなぞるような通り一遍のプレゼンではもはや人の心は動かない。
受験生一人ひとりの不安に寄り添いつつ、「ここなら間違いない」と思わせる具体的な根拠(学習サポート体制、在校生のリアルな姿、丁寧な個別対応)を示せるかどうか。ここが勝負の分かれ道だ。
学校の魅力をアピールすることも大事だが、確かな「安心感」を提示できた学校が、最後に選ばれる一校となるだろう。

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