さまざまな角度から埼玉県公立入試を分析するシリーズ。
 本日は、令和6年度倍率が過去5年(平成31年度~令和5年度)の最高倍率を上回った学校を調査した。
 つまり自己ベストを更新した学校である。

 さらにさかのぼれば、もっと高倍率の年があったかもしれないが、入試をめぐる環境は年々変化しているので、10年も20年も昔の話を持ち出しても仕方ないだろう。

 なお、ここでは示す倍率は、志願先変更後の確定倍率である。今後取り消しなどもあり、受検当日倍率は多少変化するだろう。また、予定を超える合格者を出した場合、事後的な倍率は変化するだろう。

◆ベスト倍率を更新した学校(普通科)
 数字は左側が過去5年間の最高倍率、右側が今年度(令和6年度)倍率。
 学校名は更新幅が大きい順である。

春日部  1.36→1.50 +0.14
杉戸   1.06→1.20 +0.14
川口   1.26→1.34 +0.08
川口北  1.39→1.47 +0.08
所沢西  1.19→1.25 +0.06
豊岡   1.26→1.32 +0.06
富士見  1.01→1.06 +0.05
大宮北  1.34→1.39 +0.05
志木   1.22→1.26 +0.04
庄和   1.12→1.16 +0.04
川越   1.45→1.47 +0.02
和光国際 1.44→1.46 +0.02
春日部女子1.20→1.21 +0.01

 これらの学校を受ける生徒は、この6年間で最も激しい戦いに挑むことになる。
 春日部は過去5年間平均が1.31倍で、1.4倍を超えたことがなかった。
 杉戸は過去5年間平均が1.01倍で、令和3年度は0.91倍と定員を割っていた。
 更新幅という点ではこの2校が突出している。

 川口は過去5年間平均が1.18倍であり、最低は1.14倍である。
 川口北は過去5年間平均が1.26倍であり、最低は令和3年度の1.05倍である。この年のインパクトが強く、このところずっと川口市立との対比で語られることが多いため低迷している印象だが、3年度を除けば大きな落ち込みはない。

 所沢西は過去5年間平均が1.11倍で、最低は1.08倍である。
 豊岡は過去5年間平均が1.21倍で、令和3年度の1.14倍以外は常に1.2倍台を維持していた。
 富士見は今年度1.06倍と決して高くない倍率だが、過去5年間平均は0.96倍であり、3回定員割れしている学校である。
 志木は過去5年間平均が1.08倍で、最低は1.03倍である。平成31年度は0.99倍で定員割れだった。数年おきに1.00倍台と1.20倍台を繰り返している。
 庄和は過去5年間平均が1.02倍で、令和3年度と4年度は定員割れだった。

 大宮北は過去5年間平均が1.17倍で、最低は1.00倍である。2~3年周期で1.1倍だと1.3倍台を繰り返している。

 川越は過去5年間平均が1.41倍である。
 和光国際は過去5年間平均が1.32倍である。
 春日部女子は過去5年間平均が1.06倍である。
 この3校は記録更新と言ってもそれほど大きなものではない。
 
◆ベスト倍率を更新した学校(専門学科・総合学科)
 専門学科は募集定員が40人という場合が多く、そのため倍率が大きく振れがちである。したがって、募集人員が7~9倍である普通科と同列に論じることはできない。
 あくまで参考程度に見ていただこう。

熊谷西・理数    1.23→1.43 +0.20
春日部東・人文   1.00→1.18 +0.18
越生・美術     1.03→1.18 +0.15
新座総合技術・電子機械
          0.97→1.10 +0.13
上尾・商業     1.33→1.44 +0.11
新座総合技術・情報技術
          1.15→1.25 +0.10
南稜・外国語    1.40→1.50 +0.10
浦和商業・商業   1.04→1.13 +0.09
熊谷農業・生活技術 1.05→1.13 +0.08
吉川美南・総合   1.12→1.19 +0.07
越谷総合技術・食物調理
          1.18→1.20 +0.02
新座総合技術・食物調理
          1.18→1.20 +0.02
 
 通常専門高校は、同一校内に複数の学科を持っている。
 すべての学科で定員を満たしている学校はきわめて少ないのだが、そんな中、新座総合技術は過去5年間定員割れが続いていた電子機械科が1.10倍に到達したことにより6学科すべてが1.00倍を超えた。
(なお、これに次ぐのが6学科中4学科で定員を超えた杉戸農業である)
 
 浦和商業・商業科は過去5年間平均が0.88倍で、ここ3年間は定員割れが続いていたが一気に倍率を上げた。5年間平均1.34倍と安定している情報処理科と合わせて2学科とも定員超えを果たした。

 越谷総合技術・食物調理と新座総合技術・食物調理科が共に過去最高倍率となった。食物に関する専門学科は公立ではこの2校のほか秩父農工科学・フードデザインがあるが、今年度は3校3科とも定員を維持している。