越谷北高校の塾対象説明会に行ってきた。
 昨年に続き2回目の開催だ。
 前回は開催時期が10月中旬と遅かったこともあり参加者は少なかったが、今回は早めの告知が奏功し、参加者が増えた。(ざっと30人弱か)

 「教育関係者対象学校説明会を実施しました」(同校HP)

◆登場人物多く、印象薄まる
 トータル45分予定の説明だったが、この間に校長(代理)、教頭、広報部担当、進路主任、理数科担当と、5人の先生が登場した。
 一人一人の話はよくまとまっているのだが、どうも印象に残らない。
 あくまで個人の感想だが、他の皆さんはどのように聞いたのだろう。

 「それぞれの責任者の話を聞けて良かった」という方もいるかもしれないが、私には、お互いの印象を打ち消し合っているようにしか見えない。
 なぜこのような構成になるのか。
 それは学校、特に公立高校にありがちなセクショナリズムではないかと想像している。

 進路の話は進路の先生が、理数の話は理数の先生が説明する。
 このやり方。別に間違ってはいない。
 もしかしたら、親切のつもりでそうしているのかもしれないが、聞く側からすれば、そんなことは大した問題ではないのだ。
 むしろどうでもいい。
 教頭や広報担当が全部まとめて説明しても、それが分かりやすく興味深いものであれば、肩書など関係ない。

 どんな順番で話すか。それぞれがどんな話をするか。
 ここに学校側の都合だけではなく、「カスタマーオリエンテッド」の視点を持ち込むと、さらに良いものになるだろう。

◆理数科の倍率を上げたい
 学校側がどう考えているかは分からないが、理数科の倍率をもっと上げられると良いだろう。
 昨年第1回調査時点の理数科倍率は1.03倍で危うく定員を割るところだった。
 前年の反動(隔年現象)を考慮するとしても低すぎだ。

 理数科のある7校のうち、大宮に次ぐレベルの学校であるから、常に1.5倍オーバーであって欲しいところだ。
 そして、これを最後まで維持する。
 通常、倍率というのは本番に向けて徐々に下がるものだが、大宮などは第二志望で普通科に拾われることを期待する子も多いためか、それほど下がらない。
 何とかこのパターンに持ち込んでもらえないかと思う。

◆ライバルは越谷北
 理数科があり、かつSSH指定校であることから、この学校の理数教育は全体としてレベルが高い。
 普通科に入り3年で理数系を選択した場合、理数科と遜色ない教育が受けられるといってもいいだろう。

 となると、極端な場合、別に理数科である必要がなくなってくる。
 普通科における理数イメージが強くなればなるほど理数科のイメージ低下を招く。
 越谷北のライバルは越谷北というのはそういう意味だ。

 これがもし私立だったら、ただの「理数科」ではなく、「理数選抜」とか「理数特進」と銘打って募集するところだろう。
 理数に特異な能力を持つ生徒を集め、苦手な文系を補強し、最終的には国立理系を狙わせる。そんなプランで生徒募集するだろう。

◆新聞部が取材
 説明会、授業見学の後、食堂で昼食をとった。
 事前にメール配信でメニューが送られてきて予約しておく。

 もちろん自腹だが、たったの400円。
 どうせ、知り合いの先生方とそこらで昼食をとって解散というパターンが普通だ。
 だったら話のタネにもなるし、みんなで食って行こうぜとなった。
 これは良い企画だった。

 飯を食っていると、ちょうど昼休みに当たっており、新聞部の生徒が取材に来た。
 「今日の説明会はいかがでしたか?」。
 絶滅危惧種とも言われている新聞部が成り立っていることがまず驚きだ。
 今年は20人近い新入部員を迎えたという。

 失言ねらいのくだらん質問ばかりする大人の記者と違い、かれらは純粋だ。

 ごく自然に生徒とコミュニケーションできる場を作ってくれるなんて、粋な計らいじゃないか。
 おかげで、ものすごくいい気分で帰ることができた。
 前半のモヤモヤも吹っ飛んだよ。

【追伸】
 もう一つ書くことがあった。
 授業見学の途中、物理室に立ち寄った。端っこの教室なので前から入る構造。
 それで、ちょっと覗いてみて、これは遠慮したほうがいいかもと立ち去ろうとしたとき、先生が気づいてドアを開けてくれた。この心づかいが嬉しい。
 中に入ると教育実習生が授業をしていた。
 で、これが実に素晴らしい。
 野球の世界なら「プロ注目の」という形容詞がつくところだ。
 余計なお世話だが、県教委もこういう子を逃さないほうがいい。
 実習生ということはこの学校の卒業生なわけで、ここにも人材が揃っている学校と見た。