埼玉県教委は、令和8年4月、県立高校統廃合により新たに開校する学校の校名アイデアを募集している。
募集期間は令和6年6月14日(金)から7月26日(金)まで。
◆なぜアイデア募集
応募にあたっての注意事項には、次のようにある。
「応募いただいた校名アイデアは、校名検討の参考とさせていただきます」
校名は、今回のアイデア募集とは無関係に決定されるということを言っている。参考にするとはそういう意味だ。
われわれもビジネスシーンにおいて、「参考にします」をしばしば用いるが、その場合、意見・要望を取り入れることはない。「聞くだけは聞いておきます」の意味だ。それと同じ。
では、なぜアイデア募集をするのか。それは広く県民の声を聞いたという体裁をたもつためである。
その学校の在校生や保護者、卒業生、地元住民など関係の深い人の声だけで十分なのだが、県立高校は県民全体の財産であるから、このような手続きが必要になる。
また、注意事項には「校名アイデア募集は投票ではありません。校名案候補の選定に当たり、応募数は考慮しません」とある。
応募数は考慮しないと言っているので、組織票を投じても無駄である。と言うか、そういう動きを牽制しているわけである。
ただ、応募フォームには、その学校の在籍者かどうかをチェックする項目があるので、在校生の声はそれなりに尊重されるだろう。
◆統廃合、新校の意味
統廃合が意味すること。
これは何度も書いているが、いまだ誤解が多いので繰り返す。
統廃合は、統合と廃合を合わせたもので、廃止や合併などで一つにまとめることをいう。
埼玉県の県立高校の場合、形式上は二つの高校を合併させたように見せているが、事実上は片一方の高校の廃校である。
たとえば和光新校の場合。
形式上は和光国際高校と和光高校の合併(統合)であるが、和光高校はすでに生徒募集を停止している。今はまだ2・3年生がいるが、新校がスタートする令和8年4月までには生徒はすべて卒業し、先生方も異動し、誰もいない学校になる。つまり、この2校の統廃合が意味するところは和光高校の廃校である。
他のケースも同じ。
岩槻北陵高校を廃す。
皆野高校を廃す。
鳩山高校を廃す。
八潮高校を廃す。
浦和工業を廃す。
以上が、今回統廃合の実態である。
しかし、統廃合と呼ぶ以上は、統合相手が必要であり、その相手として選ばれたのが、和光国際、岩槻、秩父、越生、八潮南、大宮工業である。
◆校名はそのままでも
以上の経緯を踏まえれば、和光国際など6校は、たまたま地域的に近いという理由だけで統合相手に指名されただけであり、積極的に校名を変えなければならない理由はない。
よって、校名はそのままでも何ら問題はない。
ただ、和光国際と岩槻を除けば、必ずしも生徒募集は安泰ではないので、新学科設立や学科名変更に乗じて、思い切って校名変更まで持って行ってもいいかもしれない。
◆校名アイデア私案
▽和光国際
外国語科が国際科に変われば、校名は今よりも内容に沿ったものになるので変更の必要なしと考える。インターナショナルを取り入れて「和光インターナショナル高校」などとしてしまうと誤解を招くし、「和光インター高校」では車が突っ込んできそうで危ない。やはり「和光国際高校」が安心。
▽岩槻
国際文化科が国際教養科となる。
ここもあえて変更の必要はないと思うが、思い切って「岩槻」を捨てれば「埼玉県立国際教養高校」という手がある。略称ILA(アイ・エル・エー〈International Liberal Arts〉」。InternationalのIは、IwastukiのIにも通じる。ただ、そのためには国際教養科の定員をもっと増やす必要がある。
▽秩父
歴史もあり埼玉県の中でも対外的知名度が高いので秩父の名は残したい。ここも国際教養科が新設されるが、国際教養高校は岩槻に譲ってもらおう。
▽越生
美術科が美術表現科になる。1クラス40人では校名に美術やアートを付けるわけにも行かず、やはり越生のままか。「越生」が読みにくい説もあるので、ひらがなの「おごせ高校」という手もある。
▽八潮南
八潮市内唯一の高校となるので「南」は不要になる。旧八潮と判別しにくいという難点があるが「八潮高校」となるのが自然だろう。
▽大宮工業
既存の学科が名称変更されるなど学科構成に変更がある。
まず考えられるのが東京都のように「工科高校」に変えることだろう。大宮市と浦和市が一緒になって「さいたま市」になった例から「さいたま工科高校」もありだ。
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