コロナウィルスは、日本各地のマラソン大会に集中感染してしまったようである。
　火付け役は東京マラソン2020の一般ランナー参加中止だ。
　「東京マラソン2020の開催に向け、感染症対策等の準備を進めておりましたが、東京都内における複数の感染者が確認される中、多くの一般ランナーが参加する本大会を実施することは困難であるとの結論に達しました」（2月17日、大会HPより）。

　個人的には、これはまあ理解できる。なにしろ規模が違う。スタッフ・ランナーの数が他の大会とはケタ違いなのだ。
　スタート前は大混雑となるが、満員電車のように押し合いへし合いという状況ではなく、屈伸や軽いストレッチならできるくらいの間隔はあるから、ほとんど体の接触というものはない。
　心配なのはむしろ沿道で応援する人々だろう。100万人と言われている。銀座や浅草などの人気スポットはラッシュアワーの電車さながらだ。
　ここでは観戦者が感染者になってしまう恐れがある。
　東京マラソンは海外からの参加者も多い世界的にもビッグな大会であるから、ここで感染者が出れば、東京オリンピックを控えて東京や日本のイメージダウンになる。おそらく、そのあたりも含めての判断であろう。
　
　翌週3月8日開催の名古屋ウィメンズマラソンも「同日開催の名古屋シティマラソンと合わせて約4万人が集まる本大会においては、ランナー及び来場者が密集する機会も多く、皆さまにご安心して大会に参加いただくことは困難であるという結論にいたりました」（大会HPより）ということで、東京同様エリートランナーのみの大会になった。
　両大会ともオリンピック選考レースになっているため全面中止というわけにはいかなかったようだ。

　さあ、ここから中止の動きは一気に加速する。
　まるで、マラソン大会を中止し、クルーズ船が寄港しなければ、感染拡大が防げるかのような世の雰囲気に。
　クルーズ船は知らんが、マラソン大会は基本、体力のある連中が集まっているわけだし、規模も小さい。コースもたいていは広々とした田園風景の中なんだけどね。

　中止になった大会
　第40回丹波篠山ABCマラソン
　鹿児島マラソン2020
　第38回三浦国際市民マラソン
　第42回千葉県民マラソン
　静岡マラソン2020
　立川シティハーフマラソン2020
　第38回鴻巣パンジーマラソン
　第29回ヨロンマラソン
　きりがないので、このくらいにしておくが、とにかく中止が相次いでいる。

　埼玉県内では、第5回久喜マラソン（3月22日開催）の中止がすでに発表されている。
　「国内にて新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を受け、参加ランナーやボランティアなどの運営スタッフ、久喜市民の皆様の安全を第一に考えた結果、今大会の開催を中止することに決定いたしました。数多くございますマラソン大会の中から「久喜マラソン大会」へエントリーいただいた皆様に対して、苦渋の決断ではありますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます」（大会HPより。太字は筆者）。
　せっかく川内優輝選手が来てくれるというのにもったいない。

　私はこの日、熊谷さくらマラソンにエントリーしているが、こちらは今のところ中止発表はない。大会HPを見ると、「大会開催の可否につきましては、近日中に大会実行委員会で決定し、大会ホームページ等でお知らせいたしますので、ご理解いただきますようお願いいたします」とあるのみだ。熊谷と言っても、主に籠原（かごはら）の農道みたいなところを走るんだから問題ないと思うのだが。

　もう一回言うが、マラソン大会には体調の悪い人は無理して出てこないよ。
　だから、東京マラソンのような特別なイベント以外は、マラソン大会中止による感染抑止はそれほど期待できない。
　もっと感染抑止効果が期待できる商業イベントがたくさんあるでしょう。コンサートとか。
　もしかしたら、人々がそういうところに目を向けないように、ことさらマラソン大会に話題を持って行こうとしているのではないか。

　マスコミ報道が、ある一部分に集中するときは、裏にあるもっと大きなことを隠そうとしている場合があるから注意しなければいけない。