9日から高校野球埼玉県大会が始まった。
 野球にはあまり興味がないという方もいると思うが、今日はいくつかの数字を取り上げて、その面から大会を見てみようと思う。

◆出場校140校を割る
 出場校数は徐々に減少している。
 出場校は昭和56年(第63回)に100校を超えた(116校)。
 ちなみに、このころは公立全盛時代で、昭和56年は熊谷商業、57年が熊谷高校、58年は所沢商業高校、59年は上尾高校が優勝し甲子園に出場している。

 昭和63年(第70回)に160校を超えた。
 以後20年間、160校超えが続いた。
 最高は平成15年(第85回)の168校だった。

 平成20年(第90回)に160を割り157校となった。
 令和3年(第103回)には149校となり、以後、令和4年(第104回)147校、同5年(105回)145校と減少し、昨年(第106回)が142校。
 そして今年(第107回)はついに140を割り139校(連合チーム含む)となった。

 今年は18校が4つの連合チームを作って参戦しているが、今後は単独ではチームを編成できない学校がどんどん増えてくるだろう。
 今回部員数20人未満の学校が26校、そのうち3校が部員数11人。これらは単独出場に黄信号が灯っていると言っていい。
 
◆部員数、公立トップは市立川越
 強豪校は部員数が多い。
 部員数が多いから強くなるとも言える。
 今回、50人以上の学校をピックアップしてみたが、優勝校はもちろん、ベスト8以上はこれらの学校の中から出ることになるだろう。

 3ケタは浦和学院、川越東の私立2校だ。
 浦和学院は121人の大所帯だ。男子生徒は全体で1678人おり、そのうちの7.2%が野球部ということになる。
 川越東は男子生徒1433人の8.0%が野球部。
 強豪部活の多い学校は野球部一極集中とならず各部に分散する。浦和実業は4.8%、埼玉栄は5.2%、昌平は8.4%が男子生徒全体に占める野球部員の割合だ。

 公立の部員数トップは市立川越の89人だが、これは同校男子生徒229人の38.9%に当たる。野球部員の割合の多さでは公私合わせて県内トップだ。
 かつて甲子園出場経験のある滑川総合(当時は滑川)も男子生徒の15.4%が野球部とかなり高い。
 松山・浦和・熊谷といった男子校は、共学校と比べ男子の数が2倍となるので部員数も多くなりがちだ。ランク外となったが春日部も49人を数え決して少なくない。

 以下、部員数50人以上の学校である。
  
【私立 部員数ランキング】
01浦和学院  121人 
02川越東   115人 
03西武文理  99人 
04春日部共栄 87人
04花咲徳栄  87人 
06浦和麗明  84人
07西武台   83人
08東京農大三 82人
09浦和実業  79人 
10武蔵越生  77人
11聖望学園  76人
12狭山ヶ丘  74人
12細田学園  74人
12本庄東   74人
15埼玉栄   72人 
16昌平    70人
17叡明    67人 
18山村学園  66人
19立教新座  59人  
20星野    58人 
21正智深谷  55人
22武南    53人
23山村国際  53人
24本庄第一  50人 

【公立 部員数ランキング】
01市立川越  89人
02松山    80人
03大宮東   73人
04川越工業  70人
05上尾    69人 
06川口市立  63人
07滑川総合  59人
08春日部東  56人 
09大宮北   54人
10川口青陵  53人
11浦和    52人
12熊谷    51人

◆浦学、花咲は県外出身者が75%
 強豪チームには全国から選手が集まっているのではないか。
 そう思っている人は多いだろう。
 そのとおり。
 他県出身者で構成された強豪校は全国にはいくらでもある。
 野球以外の他の競技でも同じことだ。

 埼玉県代表校が他県出身者で構成されたチームでは応援する気にならないという人がいる。
 まあ、そういう方は県外出身者が一人もいない100%純粋埼玉出身者チームを応援してもらおう。
 必然的に公立を応援することになると思う。

 主な私立高校の今大会登録選手(20人まで)の出身中学校を調べてみた。
 やはり予想どおりというか、浦和学院、花咲徳栄の両校は県外出身者が75%と高かった。
 
 直近の10大会(令和2年除く)、花咲徳栄が6回、浦和学院が3回、春日部共栄と聖望学園が各1回、夏の甲子園大会に出場している(平成30年は記念大会のため2校出場)。
 これだけ甲子園出場の確率が高く、プロで活躍する卒業生も多ければ全国から選手が集まるだろう。ちなみに今年のプロ野球オールスター戦には若月健矢捕手、清水達也投手、西川愛也外野手と花咲徳栄高校出身者が3人出場する。

 意外に県外出身者が多かったのは、まだ甲子園出場経験のない昌平で浦学・花咲を上回る80%が県外出身者だ。令和3年(第103回)は浦和学院に、昨年(第106回)は花咲徳栄に、いずれも決勝戦で敗れ甲子園を逃している。そろそろ出番か。
 春日部共栄は本多・前監督が県内生にこだわったようで全国各地からということはない。千葉・茨城の出身者はいるが東部地区の学校ならよくあることだ。
 山村学園は県内生主体だが、川越市の学校ながらそのうちの半分はさいたま市の出身者だ。

 以下は主な学校の県内・県外比率である。
 
●浦和学院
県内  5人(25%)
県外 15人(75%)
 鹿児島・福岡・岡山・富山・静岡など。

●花咲徳栄
県内 5人(25%)
県内 15人(75%)
 北海道・大阪・奈良・富山など。

●昌平
県内  4人(20%)
県外 16人(80%)
 大阪・宮城など。

●聖望学園
県内 10人(50%)
県外 10人(50%)
 宮崎・滋賀・和歌山など。

●山村学園
県内 14人(70%)
県外  6人(30%)

●春日部共栄
県内 16人(80%)
県外  4人(20%)
 茨城・千葉。

●浦和実業
県内 16人(80%)
県外  4人(20%)
 東京・千葉など。

●叡明
県内 19人(95%)
県外  1人( 5%)
 東京。