今日は各高校が公開しているグラデュエーション・ポリシー(Graduation Policy)に関する話だ。
各校ホームページでも見ることができるが、埼玉県立高校の場合であれば、ここから入るのが分かりやすいだろう。
県教育委員会のホームページである。
グラデュエーション・ポリシーについては、高校の先生方は、これを作っている側だからいちいち説明する必要ないだろう。
だが、読者の中には、塾の先生もいらっしゃるし、少数だが保護者の方もいらっしゃる。
そこで、簡単に説明しておく。
各高校はまず、「スクールミッション」を定めなくてはならない。
ミッションは使命であるから、学校の存在意義や社会的役割などについて定めたのが「スクールミッション」である。
次に「スクールミッション」に基づき、「スクールポリシー」を定めなくてはならない。
「スクールポリシー」には3つある。
1 グラデュエーション・ポリシー
2 カリキュラム・ポリシー
3 アドミッション・ポリシー
グラデュエーションは「卒業」であるが、3年間でどのような能力を身につけさせ送り出すかということなので、日本語では「育成方針」となる。
今日取り上げるのはこれだ。
カリキュラムは「教育課程」、アドミッションは「入学」だが、これらは別の機会に話そう。
◆「育成方針」、策定・公表は義務
言い忘れたが、スクールポリシーは法律によって定めなければならないことになっているので、どこの学校にもある。
公立だけだと思っている人もいるようだが、決まりなので、私立にもある。
作るだけでなく公表が義務付けられているので、ホームページなどに掲載するのが普通だ。
一つ例を挙げておこう。
埼玉栄高校 スクールミッション・スクールポリシー(同校HP)
公立もそれぞれの学校がホームページに掲載している。
学校説明会などで資料として配る学校もある。
◆相変わらず、色使い過ぎで見にくいぞ
長い前置きだが、今日言いたいのは、例によって色使い過ぎで読みにくいぞ。
いや、読む気がせんぞ、という話だ。
中身はそれぞれの学校の方針だからいいとして、わざと読まれないようにしているんじゃないかと思うほど、酷いデザイン・レイアウトの学校も多い。
良くない例を出そうと思ったが、それでは角が立つ。
そこで、良い例を見てもらうことにする。
全校閲覧するのは時間がかかる。
そこで、「ここは絶対に上手いだろう」と思われる学校を決め打ちして見てみる。
最初に、芸術総合高校。
ARTを専門にやっている学校だ。センスのない資料を公開したら、学校のブランドイメージに傷がつく。見やすくきれいにまとめているに違いない。
では、見てみよう。

予想通りだ。
無駄に色を使わない(写真やイラストは別)。
文字は黒(ブラック)で統一。一文だけ小さく赤文字を使用。
読ませる資料はどうあるべきかを知っている人の手にかかると、こういうシンプルなものになる。
次に見当をつけたのが新座総合技術高校。
ここもデザイン科のある学校だから下手な真似はしないだろう。

やはり期待を裏切らない。
文字は基本、ブラック一色。
タイトルにはよく目立つ「(青)ベタ白抜き」を使用。
読むところ(黒文字)と見るところ(カラー写真とイラスト)が明確に分けられている。
次。
トップ校も概してシンプルな作りになっているはずだ。
確認してみよう。
浦高だ。

ま、予想通りであるが、もう少し丁寧な説明があってもいいだろう。
男子校をもう1校。
川越高校だ。

色は基本2色。本文ブラックが9割、見出しパープル1割。
ポリシーというものを、読んで理解してもらいたいのか、それとも見て感じてもらいたいのか。
どこに狙いを定めるかによるが、読んで理解してもらいたいのであれば、書体・級数(文字の大きさ)、文字色をできるだけ少なくするべきだろう。ブラック(黒)をメインに、プラス1色(または2色)。
記号なども無駄に使わない方がいい。例えば「1年⇒2年⇒3年」のような形。矢印がなくても1年の次は2年、2年の次は3年と決まっているから、無いと分からないというわけではない。
繰り返しになるが、書体・級数(文字の大きさ)、文字色などを増やせば増やすほど、読みづらく分かりにくくなる。センスが疑われ、知的イメージから遠ざかって行く。また、読みにくいだけでなく、見にくく(醜く)なる。
改訂の際には一考してもらいたい。

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