現在の学校広報や生徒募集において、学校ホームページ(HP)が極めて重要な役割を果たしている。
 たとえば、受験生やその保護者が志望校を絞り込む際、最初に行うのは検索窓に校名を打ち込むことだ。
 しかし、多くの学校のHPを眺めてみると、ある共通の課題に突き当たる。
 それは、あらゆる情報を一つの皿に盛り付けた「ワンプレート」(日本語で表すなら「幕の内弁当」)のような状態に陥っていることだ。

 情報の網羅性は一見親切に思えるが、実はターゲットへの訴求力を削いでいる。
 今、学校HPに求められているのは、企業のWeb戦略における「コーポレートサイト」と「ブランドサイト」の切り分けという視点だろう。

◆ターゲットの再定義
 企業の場合、自社の信頼性や財務状況を伝える「コーポレートサイト」と、特定の製品やサービスの魅力を伝える「ブランドサイト」は明確に区別されている。
 前者のターゲットは株主、取引先、就活生であり、後者は消費者である。
 分かりやすく言えば、トヨタという会社について知りたい人と、トヨタのクルマについて知りたい人は、基本的に別々ということだ。

 これを高校に当てはめるとどうなるか。
 高校にも明確に異なる二つの顔がある。
 一つは、教育方針、学校経営計画、財務状況、教員採用情報などを発信する「組織としての顔」だ。
 これに関心を持つのは、塾関係者、マスコミ、行政、そして就職先を探している教員予備軍である。
 つまり、ここがいわば「コーポレート」の領域だ。

 もう一つは、日々のスクールライフ、授業の様子、部活動の熱気、行事の盛り上がり、そして入試関連の最新情報などを伝える「教育サービスとしての顔」である。
 こちらの主役は、中学生とその保護者という「見込み客」だ。
 つまり、こちらが「ブランド」の領域である。

 現在の学校HPの多くは、この二つが同じ熱量、同じトーンで並列に配置されている。
 受験生が「この学校でどんな毎日が待っているのか」とワクワクしながらページを開いた瞬間、その隣に「令和〇年度収支決算報告」という硬いリンクが並んでいては、温度が急激に下がってしまう。
 費用の問題もあるだろうからドメインを分ける必要はないが、トップページからの導線やデザインのトーンを、これら二つの視点に沿って明確に整理すべき時期に来ていると言えるだろう。

◆働き方改革時代の「持続可能な運営」
 さて、ここまでは理論、理屈の話である。
 インテリ集団である学校の先生方は、一瞬で理解できただろう。
 問題はここからだ。
 「じゃあ、誰がやるのか」。
 教員の多忙化が社会問題となる中、HPの更新作業がさらなる負担になることは避けなければならない。

 動画のYouTube活用や、資料請求・出願システムの外部委託は、すでに多くの学校で定着している。
 これらは「システムによる省力化」の第一段階だ。
 次なるステップは「コンテンツ制作の省力化」である。

 現状の学校HPにおいて、コーポレート的側面(建学の精神や教育方針・目標など)は、一度作り込めば年単位での更新は最小限で済むので、「静」のコンテンツである。ここは外部の業者に委託することもできる。

 やっかいなのは(負担が大きいのは)、主に受験生が求めているであろう「動」のコンテンツだ。
 こちらは文字通り常に動いていなければならない。
 「誰がやるか問題」はここで発生するわけである。
 「今、この瞬間の学校の空気」を、先生が一人で記事に仕立て、管理職や上席のチェックを経てアップするという従来の手法は、もはや通用しない。
 学校HPはチームで(組織で)運営しなければいけない時代に入っている。
 そういう体制に移行しつつある学校も少なくないが、まだまだ個人に頼り切っている学校が多い。
 学校HPが紙の学校案内の電子版であれば、それでも何とかなるだろう。
 しかし、学校HPがステークホルダーとの関係性を強化するためのツールである、あるいは、学校の持続可能性を左右する重要ツールであるという発想に立てば、他人任せというわけにも行かないだろう。

 リソース(ヒト・モノ・カネ)が限られている中で、負担を最小限に抑え、効果を最大化する方法はないか。
 具体的な提案ができるよう自分も努力しなければと思っている。

 
 以下、オマケ。
◆昨日のニュース
 大宮公園の桜が咲き始めました(開花宣言)令和8年3月19日:県政ニュース
 「本日、園内のソメイヨシノ2本に5~6輪の花が咲きましたので、大宮公園の桜の開花を宣言します」
 開花宣言は靖国神社だけじゃない。
 昨年より6日早いとのこと。
 満開は今月中となりそうなので、入学式まで持たないか・・・