埼玉県教育委員会のホームページに、新たに「教育長記者会見」というメニューが設けられた。東京都、神奈川県、千葉県の教育委員会では同様のメニューを見つけられなかったので、ひょっとすると首都圏では初めての試みかもしれない。

私は以前、このブログで、教育委員会は新聞やテレビを介するだけでなく、ホームページやSNSを使って自ら直接情報を発信すべきだと書いた。それが実行された形である。むろん、私が言ったからそうなったわけではない。
◆メディアを介すれば情報は削られる
新聞やテレビの記事の信憑性を疑うわけではない。しかし、紙面にはスペースがあり、放送には時間の制限がある。会見のすべてを伝えることはできない。
また、記者の主観が意図的に入り込まなくても、その人の知識や理解の程度、どこを重要と判断したかによって、記事の中身は変わる。その結果、発信者である教育長や担当者の真意が十分に伝わらないこともある。
だからこそ、会見資料や質疑応答を原文で公開する意味がある。埼玉県教委は7月22日の会見について、発表資料と7ページにわたる「質疑応答要旨」を公開した。これは時代に合った取り組みであり、個人的には高く評価したい(と、かなり上から目線ではあるが)。
◆「面接点は5教科と同じくらい?」
さて、その質疑応答を読んでみると、記者の質問がなかなか面白い。
テレビ埼玉は、「筆記試験の点数があまりよくなくても、面接によって合格することや、その逆はあるのか」「面接点の配点は5教科と同じくらいになるのか」と尋ねている。
おいおい、大丈夫か、テレ玉。
5教科は原則500点満点で、面接は基本30点、一部の学校で60点である。学校ごとの選抜基準を一度見れば、「5教科と同じくらい」ではないことは分かりそうなものだ。
朝日新聞は、自己評価資料の学校独自項目も点数化されないのか、マイボイスは何分程度か、集団面接でも行うのかと質問した。「点数化されないということで、よろしかったでしょうか」という言葉遣いには、最近の記者は接客業のような話し方をするのだな、と少々気になった。
ちなみに回答は、自己評価資料そのものは点数化されず、それを参考に実施した面接が得点化される。マイボイスは一人1分半から2分程度で、集団面接でも行われる、というものだった。
◆記者は入試の専門家ではない
以上のほか、時事通信・東京新聞・産経新聞なども質問している。
その内容は、塾の先生方から見れば、あまりにも幼く、素朴すぎる質問に思えるだろう。
だが、記者は高校入試の専門家ではない。一口に教育と言っても、幼児教育から大学、社会人教育まで幅広い。しかも教育だけを一年中追っているわけではなく、政治、行政、事件、福祉、経済など、さまざまな分野を扱う。高校入試について、塾の先生と同じ水準の知識を求めるのは無理がある。
だから記者を笑って終わりにしてはいけない。
私たちが日頃読んでいる入試関連記事は、こうした質問をする記者によって書かれている。そのことは知っておいた方がいい。記事だけで判断せず、可能な限り教育委員会の発表資料や原文にも当たる。今回設けられた「教育長記者会見」は、そのための貴重な一次情報となる。
「文部科学大臣の定例記者会見」、テキストとYouTube動画の両方で確認できる。埼玉県教育委員会にも、次の段階として動画配信を期待したい。

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