本日のお題は「2021年度埼玉県公立入試の出願状況を分析する」。
さまざまなアプローチの仕方があると思うが、今回は例年の倍率との差にスポットを当ててみた。
倍率が高い学校低い学校さまざまだが、その学校としては例年より高いのか低いのかを見て行く。
用いたデータは、今回倍率と、2016年度から2020年度(昨年)まで5年分の同時期倍率である。
2016年度から2020年度まで過去5年間平均倍率と、最高倍率・最低倍率を求め、それを今回倍率と比較した。
◆浦和一女、大宮などは例年並み
【浦和一女】1.38倍
今回倍率は5年間平均(以下、単に「平均」とする)の1.38倍とピタリ一致。
【大宮・普通】1.51倍
今回屈指の高倍率だが、平均の1.49倍とは0.02ポイントの差でしかないから、同校としては例年並み。
【不動岡・普通】1.32倍
平均1.34倍より0.02ポイント高い。
【川越】1.36倍
やや低いようにも思えるが、平均1.39倍より0.03ポイント低いだけ。
【所沢北】1.43倍
平均1.47倍より0.04ポイント低い。
【熊谷西】1.12倍
今回は募集人員減の影響も考慮しなければならないが、平均1.16倍より0.04ポイント低い。
このほか、今回と平均との差が、±0.05ポイント未満の学校を列挙する。
平均との差がこの程度であれば、例年並みと言えるのではないかという個人的判断に基づく。
なお、カッコ内は今回倍率である。
●プラス0.01ポイント
狭山清陵(1.11)、三郷(1.01)、ふじみ野(0.99)
●プラス0.02ポイント
富士見(1.00)
●プラス0.03ポイント
児玉・普通(0.72)、越谷東(1.13)、上尾鷹の台(1.14)、所沢中央(1.19)
●プラス0.04ポイント
伊奈学園(1.24)、上尾橘(0.87)
●マイナス0.01ポイント
坂戸西(1.13)、本庄(1.27)、北本(0.94)
●マイナス0.03ポイント
朝霞西(1.23)、桶川西(1.00)
今回倍率が高い学校もあれば低い学校もあり、中には定員割れの学校もある。その学校としては例年並みと言えそうなのが以上の学校である。
◆市立3校など、平均を大きく上回る
次に、今回倍率が自校の5年間平均を大きく上回っている学校を見てみよう。
【市立浦和】1.90倍
今回最高倍率である。平均1.61倍を0.30ポイント上回っている。過去5年間最高は2.03倍なので、それには及ばない。
【越生・普通】1.00倍
平均0.72倍を0.28ポイント上回っている。過去5年は0.7倍台で推移していたので、これでも最高倍率。
【川口市立・普通】1.73倍
平均1.46倍を0.27ポイント上回っている。過去データは3年分しかないが最高倍率である。
【市立川越・普通】1.64倍
平均1.38倍を0.25ポイント上回っている。過去5年間を上回り最高倍率である。
【川越南】1.67倍
平均1.19倍を0.19ポイント上回っている。過去最高倍率である。
【志木】1.22倍
平均1.05倍を0.18ポイント上回っている。過去最高倍率である。
※注:四捨五入の関係で数値には若干のズレがある。また、ここで過去最高というのは2016年度以降でという意味である。最低についても同じ
このほか、比較的大きく平均を上回ったのは次の学校である。カッコ内は今回倍率。
大宮北・普通(1.33)、春日部女子・普通(1.20)、岩槻北陵(0.86)、越谷北・普通(1.36)、日高・情報(1.28)は今回倍率が平均を0.10ポイント以上、上回っている。
◆川口北・浦和西など平均を大きく下回る
続いて、今回倍率が自校の5年間平均を大きく下回っている学校を見てみよう。
0.20ポイント以上、下回っている学校が22校(コース含む)もある。そのうち18校(同)が、過去5年間を下回る最低倍率となっている。
【川口北】1.05倍
平均1.39倍を0.34ポイント下回っており、過去最低倍率である。
【浦和西】1.38倍
平均1.66倍を0.28ポイント下回っている。今回倍率も決して低くはないが、同校としては最低倍率である。
【大宮南】0.98倍
平均1.23倍を0.25ポイント下回っており、過去最低倍率である。過去5年間、1倍を割ったことはなかった。
【松山・普通】0.90倍
平均1.15倍を0.25ポイント下回っており、過去最低倍率である。過去5年間、1倍を割ったことはなかった。
【和光国際・普通】1.14倍
平均1.38倍を0.23ポイント下回っており、過去最低倍率である。
【松山女子】0.97倍
平均1.20倍を0.23ポイント下回っており、過去最低倍率である。過去5年間、1倍を割ったことはなかった。
【坂戸・普通】1.01倍
平均1.20倍を0.20ポイント下回っており、過去最低倍率である。
過去5年間、高倍率を維持していたり、比較的高倍率で推移していた上位校が、過去最低倍率を記録倍率したり、自校の平均を大きく下回ったり、定員割れしたりしているのが今年の特徴である。
このほか、平均を大きく下回っているのが以下の学校である。カッコ内は今回倍率。
●平均より0.30ポイント以上低下
飯能南・スポーツ(0.23)、八潮・体育(0.58)、草加南・普通(1.02)、大宮光陵・外国語(0.78)、蓮田松韻(0.60)、鳩山・普通(0.49)
●平均より0.20ポイント以上低下
児玉・体育(0.48)、小川(0.81)、鷲宮(0.99)、松伏・情報ビジネス(0.98)、与野(1.16)、大宮光陵・普通(1.05)、川越西(1.01)、飯能南・普通(0.87)、浦和北(1.05)
◆浦和、春日部、川越女子なども過去最低
ここまでに登場しなかった学校の中にも、過去5年間を下回る最低倍率を記録している学校がある。
数が多いので、一部紹介する。
カッコ内は今回倍率である。
●過去最低を記録した主な学校
浦和(1.34)、春日部(1.28)、川越女子(1.29)、熊谷(1.03)、熊谷女子(1.13)、浦和南(1.21)
途中でも書いたが、上位校を中心に比較的堅調に推移してきた学校が、定員割れしたり、あるいは定員ギリギリだったり、または過去5年間の最低倍率を更新しているのが今年の特徴と言えそうだ。
では、その分だけ中堅校が倍率を上げているかというと、そうした傾向も見られない。
今回は普通科の結果だけだが、全部で110ある学校(コース含む)の中で、自校の過去5年間平均を維持したか上回った学校は29校(同)であり、73.6%に当たる81校(同)が、自校の過去5年間平均を下回った。
引き続き、専門学科の調査を進めると共に、別視点からも分析をして行きたい。
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