新座総合技術高校の体験入学へ行って来た。前日に「行きます」と電話しておいた。たぶん、そうしておかないと暑さに負けて行くのをやめてしまっただろう。自分で外堀を埋めていく作戦。
学校に着くと、親切にも駐車場に私の名前を書いたカラーコーンが置いてあった。電話した相手が私からみれば教え子に当たるからだろう。権力の乱用ないしパワハラには注意しなければならない。
住所は新座だが自衛隊朝霞駐屯地の傍である。数百メートル先は東京都練馬区・大泉学園だ。1~2㎞内に朝霞高校、新座高校、和光国際高校などがある。
最寄駅はない。私立なら東武東上線「朝霞駅」からスクールバスを出すところだ。徒歩30分は楽勝と豪語する私もこの暑さの中さすがに歩こうとは思わなかった。
創立は昭和58年。
工業系(電子機械・情報技術・デザイン)、商業系(総合ビジネス)、家庭系(服飾デザイン・食物調理)、以上3系統6学科を擁する専門高校。
●昭和58年創立 新座総合技術・上尾南・入間向陽・浦和東・川越初雁・草加西・鳩山(普+情報管理)
●昭和59年創立 伊奈学園総合・川口青陵・八潮南(普+商業・情報処理)
●昭和60年創立 三郷工業技術・狭山経済
●昭和61年創立 大宮光陵(普+音楽・美術・書道)・越谷総合技術
●昭和62年創立 和光国際(普+外国語)・久喜北陽(総合)
●昭和63年創立 鳩ヶ谷(普+園芸デザイン・情報処理)
新座総合技術ができた昭和58年は、普通科大量生産の最後の年と言えるだろう。翌59年に川口青陵と伊奈学園総合ができているが、伊奈学園総合は「普通科・総合選択制」という今までにない形だ。60年以降は、普通科+専門学科はあるが普通科単独校はない。
新座総合技術のような複数の系統にまたがる専門高校としては、同タイプの越谷総合技術のほか、秩父農工科学(農業系・工業系・家庭系)、羽生実業(農業系・商業系)などがある。
さて、新座総合技術の募集状況は必ずしも好調とは言えない。
31年度入試の入学許可候補者数(各学科40人募集)は、電子機械(26)、情報技術(39)、デザイン(40)、総合ビジネス(37)、服飾デザイン(35)、食物調理(40)。
定員を満たしたのはデザインと食物調理の2学科のみだが、デザインの受験者は44人、食物調理は41人だったから、超低空飛行だ。
立地・交通アクセス面での不利は措くとして、農業・工業・商業などの単独校に比べ、学校のカラーが打ち出しにくいのではないか。
実は10年ほど前、この学校のパンフレットを制作させてもらったことがあるが、その時に悩んだのがこの点だ。
学科ごとの特色は打ち出せる。施設設備は申し分ないし指導陣も充実している。だが、「どんな学校?」と問われたとき、説明が難しい。
それぞれの学科の先生方は、自分の学科のことを中心に考える。当然のことだ。
しかし、このような、いわば学科第一主義は、学校としての一体感や統一性を失う元となる。複数の学科やコースを擁する学校が突き当たる壁だ。
学科ごとに募集課題はあるだろうし、それについては十分に考えられ努力もされているだろう。もし不足があるとすれば、「オール新座総合技術」としての視点だ。
この学科で学びたいという目的意識は大事だが、この学校で学びたいという魅力も大切で、このあたりに打開策があるのではないかと思った次第である。
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