もうすっかり運動会シーズンは終わってしまったが、親たちのあの姿はなんだ。ビデオ、写真撮りまくり。昔と違って、インスタやツイッターで流すんだろうね。それで「いいね」とかもらって喜ぶ。なんだ、子供のためじゃないのか。

 私は学校の卒業式とか入学式とかも行くけど、その時もビデオの三脚が林立するよ。
 学校としては「式に集中しろよ」と言いたいところだが、かと言って撮影禁止というわけにも行かず辛いところだ。、

 で、まあ撮るなと言っても撮るだろうから、お父さんたちに撮り方を教えてあげよう。私は自分では撮らんが、会社としては動画制作や写真撮影もやっている。

 もしも将来の思い出として振り返るなら、もっと日常をとらえた動画や写真を撮っておいたほうがいい。
 運動会のレース本番を必死で追いかけるのもいいが、日曜日に親子で練習している風景を撮る方が愛に溢れている。当日、子供の姿はうまく追えなくても、わが子の名を必死で叫ぶお母さんの姿の方が感動的だ。
 合格証を手に校門前でパチリ。これも欲しい1枚かもしれないが、トイレにまで貼りまくった英単語、ペンを持ったまま寝落ちしたぶざまな姿。ここにも努力の証がある。

 日常にこそ愛と感動がある。
 これは第三者には撮れないものだ。私たちプロの技が通じない世界だ。なぜそれを撮らない。
 
 みんな揃って、カニさんポーズでハイ、チーズ。後でラインで送ってね。
 って、そんな一瞬で消費されてしまうような撮影ばかりじゃ、せっかくのスマホの写真・動画性能が泣きますよ。
 もちろん、そうじゃない写真や動画を撮れているお父さんもたくさんいるけど、大方は発想が貧困だね。

 撮ってインスタに上げるのは子供への愛情じゃない。ただの自己満足。
 どうやったって親にしか撮れない一瞬ってものがあるでしょう。その1枚は、たぶん他人受けはしないと思うけど、あなたがこの世から消えても、愛の証としてずっと残りますよ。
 頑張ってね、お父さん。