ケアレスミスなどこの世に存在しない。
 皆さんがケアレスミスで片づけている失敗は、実は理解不足、練習不足なのである。
 
 これは、つい先日の受験生向けオンラインセミナーで「ケアレスミスをなくすには?」という質問があったので、それに答えたものだ。
 よくよく考えてみれば、聞かれたことに答えていない。
 質問に正対していないというやつだ。
 入試の記述問題ならば、真っ先に減点されるところだ。

 ケアレスミスというのは、知識や技能・技術はあるのだが、ちょっとした不注意とか勘違い、あるいは問題の読み違いなどで失点してしまうケースを言う。
 非常にもったいないケースということになっている。

 元々知識が頭に入っていなくてもマイナス5点。
 頭の中には入っていたが不注意でマイナス5点。
 採点の際、原因の在りかなど考慮されないから、どちらも同じことである。
 
 とにかく、これはなくさなければならない。

 では、どうするか。
 問題を落ち着いて読め。
 必ず見直しをしろ。
 まあ、このあたりが一般的なアドバイスになるだろう。
 だが、それでも繰り返す。

 ケアレスミスを撲滅するには、どうしたらいいか。
 熟考した結果、結論が出た。
 ケアレスミスという言葉自体を自らの辞書から追放してしまうことだ。

 そうすれば塾の先生の口からも、親からも、受験生本人からも金輪際ケアレスミスという言葉は出てこない。
 これで、この世からケアレスミスは無くなった。

 じゃあ、今までケアレスミスと言っていた事態をどう表現したらいいのか。
 例えば。
 重大ミス。
 致命的ミス。
 バ〇100%ミス。
 不合格確定ミス。

 ケアレスミスなどという軽い言葉を使うものだから、事の重大さや本質を見損なってしまうのだ。
 だから、今後はミスの実態に近い言葉で表現する。

 笑って済ますなケアレスミス。

 ミスは誰にでもある。
 それは認めていい。
 だが、ケアレスミスは誰もがするものなのか。

 ほとんどしない人もいれば、年中やらかす人もいる。
 だとすれば、これはもう人間として実力の差と言ってもいい。

 問題を読み違えるのは読解力がないからだろう。
 本質を見抜く洞察力がないのかもしれない。
 集中力や持続力がない可能性もある。
 記憶力がない。応用力がない。理解力がない。
 いずれにしても、何らかの力に欠けているのだ。

 こうした力不足を全部覆い隠し、心の負担を軽くしてくれる魔法の言葉。
 それがケアレスミス。

 今までいろんな所でケアレスミスの無くし方みたいなことを書いた覚えがある。
 問題よく読めだの、見直ししろだの、思い返せば、ろくでもないことを書いて来たと思う。
 今後はケアレスミスなどという軽い言葉で片づけず、その根っこにある致命的欠陥を厳しく追及することにしよう。