ボーッと生きてんじゃねえよ。数日前のことだが、自営業をやっている同世代とオッサン、いや爺さんと年金の話題になったわけだ。お互いまだ現役だ。

老後に2000万円必要って、勘弁してくれよ。そんな貯蓄あるわけないよ
 だからさ、別に預金はなくてもいいんだよ。まあまあ余裕のある生活をしたかったら、月5万円不足だから、年間で60万円の不足。
 65歳から30年間生きるとしたら、「60万×30年=1800万円」だから、ざっと2000万円の不足。だから、そのくらいの貯蓄は持っていたほうがいいよねという話。あと30年、毎月5万円分働いたっていいんだよ。

 「じゃあ何か、俺たち死ぬまで働けってこと?
 そうだよ。働けなくなるまで働くんだ。働きたくても働けない人だっているから、その人たちの分も働くんだ。自分の分プラス他人の分。

 「そんなの不公平だろう
 いや、そんなことはない。人生の前半戦、大学を出るころまでは他人の稼いだ金で暮らしてきたじゃないか。まあ、他人と言っても主に親だけどね。あんたが手に職つけたんだって、自分の金じゃないだろう。

 「でもさ、ずっと年金払ってたんだぜ。なんで少ししか貰えないんだよ
 使っちゃったからだよ。俺たちが払ってた年金は、親父や爺さんの年金に当ててたんだよ。積み立てと勘違いしてないか。年金っていうのはそういうシステムなんだよ。

 「えっ、もうないの
 ないよ。俺たちの子供世代が少ないから、貰える年金も少ないのは仕方ない。

 「オレ、子供いないし
 って、元々嫁さんいないんだから当然だろ。家庭に縛られたくないとか、子育ては面倒だとか言ってたよな。俺は自由な人生を生きるんだとか。半分遊びみたいな人生送ってきたくせに、そろそろノンビリ暮らしたいとか、冗談もたいがいにしな。

 というような他愛ない会話ができるのも、文句たれながらも何とかやって行けそうなのも、俺たちが昭和前半生まれの高齢者だからだ。
 「老後にあと2000万円の預金が必要説」
これは、人生100年の半ばにも達していない若い世代への警告だ。

 私も最近はよく「いい加減に年寄りは引っ込め」と言われるようになったが、引っ込まないよ。そういう年寄りが一人でも多くいたほうが、若い世代の負担は軽くなる。