午前中は「よみうり進学メディア」の取材で東京北区・王子の東京成徳大高校へ。東十条で降りて歩いてみた。25分。楽勝の徒歩圏内だ。
 王子神社ののぼり旗が多数。そうか例大祭なんだ、帰りに寄って行こう。
 と思ったが、途中花咲徳栄高校と連絡が取れたので、予定変更。野球部甲子園出場のお祝いに行くことにした。

 学校にいる間に組み合わせ抽選の結果が判明。相手は選抜4強で今回も優勝候補の一角、兵庫県の明石商業だ。よし、相手に不足はない。2年前の再現を期待しよう。

 往復の車の中で考えた。
 いまだ賛否渦巻く大船渡高校・佐々木投手のこと。喝!の張本勲氏やダルビッシュ選手も参戦し、賑やかなことだ。

 結論。
 負けたからだ。

 相手は、菊池雄星投手や大谷翔平投手の母校、花巻東高校だから勝つのは容易ではないが、もし勝利していれば、今とはまったく違った展開になっていただろう。

 ケース1:佐々木投手が投げて勝利
 ケース2:佐々木投手が投げずに勝利
 ケース3:佐々木投手が投げて敗北
 ケース4:佐々木投手が投げずに敗北

 今回はケース4だったわけだが、ケース1だったらどうだったか。
 多くの人が望んだのは、たぶんこの結果だったと思われるので、肩がどうだ肘がどうだという意見が出たとしても、佐々木投手への賛辞と、甲子園での活躍を期待する声にかき消されたであろう。
 その方が良かったと言っているのではない。過去の事例からそうなる可能性が高いということだ。

 ケース2はどうか。
 他の選手に大いなる賛辞が贈られるだろう。監督の選手起用に対する考え方も絶賛されるだろう。こうなって欲しかった。ただし、4つのケースの中ではもっとも実現の可能性が低い。

 ケース3はどうか。
 佐々木よくやったという声が上がる一方、投げ過ぎという意見も出てくるだろう。ただし、投げない方が良かったという意見はあまり出ず、決勝に至るまでの投手ローテーションの方に疑問が投げかけられるだろう。

 まとめると、ケース1とケース2、すなわち勝ってしまえば大した議論は起こらず、ケース3とケース4、すなわち負けてしまえば議論が沸騰する。
 代表チームの中には、ほぼエース一人が投げ抜いてきたチームもあるだろう。しかし、それらはあまり問題にされない。
 
 勝ち負けに関わらず、今回のような議論になるようだといよいよ高校野球改革も本物だ。
 大会が始まれば話題がそちらに移って行くのはやむを得ない。しかし、せっかくここまで議論が盛り上がったのだから、それを無駄するのはもったいない。