自由研究が嫌いだ。読書感想文が苦手だ。勉強も好きじゃない。水泳も得意じゃない。金がないのか時間がないのか知らないが旅行とも無縁だ。つまんねんな、夏休み。

 そんな私は少年時代、どんな夏休みを過ごしていたんだっけ。大昔過ぎて思い出せない。
 特に自由研究がいけない。何やったらいいんだよ。で、結局ギリギリになって昆虫採集かなんかでお茶を濁したのかな。セミも蝶もトンボも、ちょっと外に出ればいくらでも採れたからね。注射器と怪しげな液体が詰まった昆虫採集セットみたいなものが売られていた。

 この自由研究。どうやら今でも続いているらしい。ネットで「自由研究」と検索してみるといろいろ出てくる。ベネッセとか学研とかなら分かるが、企業のページがあるのには驚いた。
 「自由研究ラボ」(花王)「夏休み自由研究スペシャル」(ダイキン)「1日でできる小学生の自由研究」(Honda)というような感じ。

 なんだ、これじゃあ自由研究にならんだろう。
 自由研究というのは、研究してもしなくてもいい自由があるんじゃなくて、テーマは自分で決めていいということだよね。でも、このテーマ設定が難しいわけだ。もっともそこに面白さがあるわけだけど。

 中には、よくぞこんなことを思いついたなという研究も見かけるが、そんな発想を持ち合わせているのは何千人、何万人に一人だろう。
 たいていの子は、ネットや本の情報を頼りに親に手伝ってもらいながら、何とかそれらしいものをでっちあげる。
 先生方もそんな実情をお見通しなはずだが、それでも自由研究を出し続ける。一体どんなねらいがあるのか。高校教員であった私にはよく分からない。

 自由研究なんてやめちまえ。
 そう思う一方で、子供ならではのばかばかしい研究も見てみたい気がする。環境だのエコだのはそのうち学校で勉強するから自分でやる必要もあるまい。
 いっそ、教科書にあるようなテーマはダメですよというルールにしたらどうかと思うが、かえってハードル高いか?

 高校生でも授業中、どうしようもない質問をしてくるやつがいる。その際は、「知りたきゃ自分で調べろや」で終わるわけだが、小中学生だったら、「面白い質問だけど、それ学校ではやらないから夏休みの自由研究で調べてみてたら」みたいに言ってやる。自由研究を課すなら、そういうヒントを出し続けるといい。