他人の手帳に勝手に予定を書き込むんじゃないよ。
 皆さんの周りにいるかな。「何月何日、空いてる?」と、内容も用件も言わず予定をねじ込んでこようとするやつ。
 たぶん悪気はないんだと思うが、一瞬答えに詰まる質問だね。

 何月何日が仮に空いていたとして、正直に空いていると答えたが、「ところで用件は」と聞いたら、あまり気の進まない内容だった。そういうことってあるからね。でも、もう断りにくい。
 まあ私ぐらいの年齢になると、いったん「空いている」と答えてしまっても、内容次第で「興味ねえな」とか「別の人、誘いなよ」と言えてしまうわけだが、現役バリバリの方には難しいかもしれない。

 だから、こういう他人の都合など考慮しない無神経な奴に対しては、「一応、予定は入ってるけど…」とまず防御の姿勢を整え、しかる後に「ところで、用件は?」と軽いパンチで応戦する。
 あとは用件次第で、「無理そうなんで悪しからず」と断りを入れるか、即お断わりは失礼と思ったら「調整はしてみるけど」とワンクッションおく。
 気の進む内容であれば、「(予定はあるが)もしかしたら調整可能かもしれないから」という展開に持ち込めばいい。

 ところで。
 ならば先に用件から切り出せばそれでいいかというと、そうとは限らない。
 「今度飲もうぜ。いつ空いてる?」。
 「いや。いつとかじゃなく、お前と飲むこと自体が嫌なんだよ」。
 こういう場合もあるからだ。

 要は、人を誘う時は断りやすい聞き方にしろということだ。
 ビジネスの場であれば、相手が断りにくい状況にしてしまうのも一つの作戦だが、個人間の付き合いでは、断りやすさは常に考えておかなければならない。

 断りやすさは、別の言葉に置き換えれば「逃げ道」である。日程だけを先に答えさせるのは、完全に相手の逃げ道を封ずるやり方だ。
 断りやすい聞き方をできない人は、「逃げ道」を塞ぎ、相手をとことん追い込んでしまう人である可能性が高い。

 人を誘う時、人に頼む時、断りやすさが考慮されているかどうか。逃げ道が用意されているか。
 今日も早朝から「何月何日、空いてる?」と無礼な電話が入ったので、自身の言動を振り返る意味で、この話題を取り上げてみた。