質問力がない人は困りものだ。今月、某中学校で保護者向け講演を行うのだが、主催者がそれに先立って、どんな話を聞きたいかアンケートを取った。

 いろいろ質問がきた。
 たとえば。
 「子供は中2です。部活は一生懸命頑張っていますが、学習面においては集中力が足りなくて心配です。どのタイミングでスイッチが入るのでしょうか? 両親の声掛けが足りないのでしょうか?」
 短い文章だが、子供の様子が想像でき、親の悩みも伝わって来る。まあまあ、答えやすい質問だ。

 困るのはこういうやつ。
 「高校受験のしくみが分かりません」。
 たぶん塾の先生もたまに聞かれると思うが、相手が子供なら「まず自分で調べろ」だね。質問っていうのは、調べて分からないことや考えて分からないことを人に尋ねるわけだ。
 しくみが分からないというけど、しくみのどのあたりなのよ。そこを言ってくれないと答えようがないじゃない。まったく困ったものだ。

 と、そんなことを考えていたら、国民民主党の玉木雄一郎代表が自らのYouTubeチャンネル(「たまきチャンネル」)において、国会で安倍総理に質問してもらいたことを募集中というニュースが目に入ってきた。
この玉木代表という人は、テレビやYouTubeで見ていると、なんか人が良さそうで、すぐにお友達になれそうな印象だ。ただ、ちょっと頼りない感じはある。
 
 本人、初の試みと胸を張っているようだが、おいおい、そいつは自分で考えろよ。そのための国会議員だろうが。
 質問力は議員の重要な資質なんだよ。
 しっかり調べて、よくよく考えて、でもって疑問点や矛盾点を鋭く相手にぶつける。それがキミたちの仕事で、それでお給料(歳費)をもらっているんだ。
 昔は良かったとは、あまり口にしたくないが、この点では昔の議員の方がよく勉強していたんじゃないかな。

 みっともないから質問募集なんて、今すぐやめなさい。
 どうしてもというなら、国民民主党に何を望むかとか、玉木に何を望むかを聞けばいい。おそらく、その中に何を聞くべきかの答えはある。
 それと、もう一つ言っておけば、聞く相手は安倍総理ではない。内閣である。政府である。対峙すべき相手を間違っているから、いつまでも野党は野党のままなのである。