受験生からの質問。「今からやって間に合いますか」。あれっ?その話前にしなかったか。さんざんサボってきて何を調子のいいこと考えてんだ。
 でもまあ、質問してくるだけましというものだ。まるっきりやる気のないやつは、こういう質問すらしてこない。

 では答えよう。
 行けるとこまで行ってみる。または、やれるところまでやってみる。
 この精神だ。
 
 たいていの人間はまず自分にとっての可能性を考える。できそうか、無理そうか。そして、できそうだと思ったらやる。無理そうだと思ったらやらない。つまり簡単なことだったらやってみるが、難しそうなことはやろうとしない。
 で、これでいいと思うか。

 自分には無理そうだと思ってしまう。まあ、そこまでは仕方ない。だが次の瞬間、無理そうだが、行けるところまで行ってみるか、やれるとことまでやってみようじゃないか、そう思えるかどうか。大事なのはそこのことだ。

 無理そうだという予感は幸か不幸かよく当たるもので、私の経験によれば、無理そうだと思ったことが出来てしまうのは、10のうち1あればいいほうだ。もっと少ないかもしれない。残りはやっぱり出来ない。
 だが、行けるところまで行き、やれるところまでやった結果、次に同じような場面に遭遇した時、「前にもやってみたけど全然ダメだった」ということが多い中、「結果はダメだったけど、結構いい線行った」というものも現れるのである。
 ここにささやかな自信が生まれるのだ。頭の中の想像上の自信ではなく、経験に裏打ちされた自信だ。
 無理そうだからと行動しなければ、永遠にこの瞬間は訪れない。

 冷静に考えて、今からやって完全な成功を収めるのは困難だろう。できそうか、無理そうかと問われれば、圧倒的に無理そうと言うしかない。
 しかし、では諦めなさいとは言わない。行けるところまで行ってみろ、やれるところまでやってみろ。これが答えだ。