落ちたらどうしようという不安との戦い。模試で4つも4つも志望校を書いている分にはいいが、一つに絞った瞬間、本当にそこでいいのかとか、落ちたらどうしようとかいった、不安との戦い始まるわけで、それを回避したいという心理が志望校を決めにくくしている場合がある。

 どこにしようかな? どっちにしようかな?
 この段階では、まだ不安との戦いは始まっていない。
 また、「考えています」、「迷っています」と言っておけば、とりあえず周りの人も許してくれる。
 心穏やかで大変居心地の良い状態だ。
 まあ、組み合わせ抽選の前に、「優勝目指して頑張ります」と言ってるみたいなものだ。

 だが、対戦相手が決まったら、それでは済まない。
 質問する方だって、「作戦は?」、「どうやって攻略する?」、「何か策はあるか?」と具体策を聞いてくるよ。

 スポーツの試合だったら、時期が来れば自動的に対戦相手が決まってくるわけだが、受験の場合、決める時期は自分の判断だし、そもそも対戦相手すら自由に決められる。
 そういう状況であるから、決定をズルズルと先延ばしすることも出来てしまう。それでずっと「合格目指して頑張ります」と言い続ける。

 しかし、早く対戦相手を決めて、早くその対策を練ったほうが、どう考えたって勝つ確率は上がるわけである。
 ただ、厄介なのは、相手が具体的であればあるほど、作戦は限定されることである。あの相手にはこれで通じるが、この相手には難しいということが、いくらでも出てくる。そして、それは不安の元となる。

 志望校を決められない理由は人さまざまであろうが、もしも、無意識のうちに不安を遠ざけようという気持ちが働いているのだとすれば、周りの大人たちは、勇気を持って一歩前に踏み出せるように後押しをしてやらなければならない。

 一緒に作戦考えて、一緒に戦おうじゃないか。でも、その前にターゲット決めような。