決心の季節。とでも言うのかな。年末年始は何かと決心しがちなのである。来年は何々を始めようとか止めようとか。何々にチャレンジしてみようとか。
 年末年始には、人々のそういう心理に付け込んだ広告やCMが大量に流れるものだから、これらに煽られて、さらに実現不能な決心をしてしまう。

 私は長く生きてきて、たくさんの失敗をしてきたので、その経験から一つアドバイスをしておこう。
 正月に決心してはいけない。

 もちろん決心はしてもいいのである。強い願望と綿密な計画があれば、あとは「よし、やるぞ」の決心さえあればいい。たいていのことは実現できるだろう。
 ただ、正月はいけない。
 思い立ったが吉日という言葉があるが、決心のタイミングは1年365日、いつでも構わないのである。しかし、おとそ気分の決心など実現したためしがない。
 正月に立てる一年の計は「ネタ」で十分である。

 そもそも、決意・決断・決心といった「決」の字のつく行為は、あまり体に良いものではない。
 振り返ってみると、仕事上、立場上、それが迫られるという場面はあったような気がするが、それはまあ仕方がない。
 「社長、決意を表明してください」
 「社長、そろそろ決断してください」
 「社長、いい加減に決心してください」
 こういうやつ。
 長の付く立場は決めるのが仕事だから、これを避けるのは難しい。

 だが己のこと、個人的なことについては「決」の字のつく行為は、精神的にあまりよろしくないので、可能な限り避ける。何なら、一生涯やらなくてもいいくらいだ。

 「決」の字のつく行為ができないのは、おそらくは、それが自分の意に反したことだからだ。
 辛く苦しいことと、楽しく面白いことのどっちかに決めろと言われた場合、周囲の期待は辛く苦しいことにあることが多い。自分の頭の中の常識で考えてみても答えは同じ。
 でもね。意に反する決意・決断・決心は、結局は実行できないし、実現しないのよ
 だったら、世間が何と言おうと、己の心の赴くままに、楽しく面白いことの方を選んじゃいなさい。
 まだ一年の計を決めてない人。どうせなら楽しく面白いことを掲げたほうがいい。