学校を訪ねることで成り立っている私の仕事は、ほぼストップしている。まあしかし、こういうご時世だから仕方ない。

 ところで最近、「行動変容(behavior change)」という言葉がよく聞かれるようになった。「経験によって生じる比較的永続的な行動の変化」を、そのように呼ぶらしい。
 簡単に言うと、長年続けて来た習慣はなかなか変えられないが、それを何とか変えてみようというのが「行動変容」であるようだ。

 しかし、私のような高齢者は、経験年数が長い分だけ、決まった行動が身体の芯まで染み付いているものだから、若い人に比べて、変容させることが難しい。

 朝9時、スーツを着て会社に出る。
 日によっては10時でも11時でも、何なら午後からでも構わないのだが、9時へのこだわりが捨てきれない。
 服装もそうだ。ここ数年は世の風潮でノーネクタイという時も多いが、それでもジャケットは欠かさない。
 別に人から言われたわけではないが、私は教員生活において、ただの一度もノーネクタイで授業をしたことがないのだよ。はたから見たら、それがどうしたって話だが、なぜかそこにこだわっちゃうんだ。で、民間サラリーマンの時も、今の仕事になってからも、そのまま。

 まあ、これはほんの一例であるわけだが、とにかく行動が変えられない。外からの強制で変えられないのではなく、内なる強制力が働いて変えられない。

 今、人々の行動変容が求められているようだから、ちょうどいい。この機を逃すと一生、と言ってもそう長くはないが、行動変容の機会は訪れないと思うので、これまでの日常にこだわらない生活と仕事というのを意識してみよう。

 さて、明日は人と会う予定もないし、社内の打ち合わせなんてものは元々ないし、昼から出勤とするか。誰とも会わないから普段着でいいや。と、思ったのだが、スーツにワイシャツじゃない場合、何着て行けばいいのよ、という話になる。ここが昭和生まれのオッサン、爺さんの悲しいところだ。