詳しくはホームページへ。この言い方、今でも普通に使われている。しかし、厳密に言うとホームページでは詳しく語れない。
 ホームページはブラウザを開いたとき、最初に出てくるページのことだからだ。
 1ページで詳しく語ることはできないだろう。

◆本当はWEBサイトと言うべきなんだが 
 各校WEBサイトを見ていると、メニューの中に「ホーム」というボタンを用意している学校がある。
 このボタンを押すと、最初のページに戻れるということだ。
 「ホーム」の代わりに「トップページ」としている学校もあるが機能は同じだ。

 ホームページとはWEBサイトを構成する一部である。

 が、実際問題としてホームページは、WEBサイト全体を表す言葉として流通している。
 ホームページと言おうが、WEBサイトと言おうが、みんな同じところを見る。
 だったら無理にWEBサイトと言わず、ホームページで構わないだろう。

 で、私は今日ここで何を言いたいかというと、情報発信は伝わる表現、伝わる言葉を使わないとダメだろうということだ。
 ホームページの話は余計だったな。
 消すのはもったいなから、そのままにしておくけど。

◆厳密さにこだわると素人には伝わらない 
 たしかに厳密でなければならない場合も多い。
 特に入試に関わる情報。
 下手したら、後で訴訟になりかねない。

 ただし、厳密さにこだわるあまり専門用語の羅列になってしまうと、読み手にとって理解しずらく、また、魅力の無いホームページになってしまう。
 学校の先生方の日常語の大部分は専門用語である。または業界用語である。
 
 たとえば、教育課程。
 これが分からなきゃ先生同士の日常会話は成り立たないが、素人にとってこれほど難解な言葉はない。
 「わが校の特色ある教育課程」。
 はっ? 
 そもそも教育課程って何よ?
 なのに、教育課程表をそのまま貼り付けて、「ほら、これが特色」って、そりゃ無理だわ。
 単位だの履修だの言われたってチンプンカンプン。

 「充実した補講」
 えーと、スミマセン。補習と補講はどう違うんですか?

 何度か書いてるが、私は40代で教育界から広告業界に転じた。
 最初、かれらの言葉が理解できなかった。
 と同時に、自分がやってきた教育の仕事をかれらに説明するのに苦労した。
 「えー、つまり分かりやすく言うと、こういうことなんですけど」といちいち注釈を入れないと話が前進しない。
 もっと苦労したのは、その背景にある価値観や思想なのだが、それはまた別の機会に話す。

◆塾と学校でさえ言葉の意味が違う
 そうそう、今突然思い出したから書いておこう。
 塾の先生方から「教務力」という言葉を聞くことがある。
 元公立教員である私にとって「教務」とは、校務分掌にある、あの「教務」である。
 (分掌も部外者には分かりずらい言葉だなあ)

 「教務」は「進路指導」や「生徒指導」と違って、生徒には直接関わらない仕事だ。
 前出の教育課程の検討、時間割の編成、年間行事予定の作成、指導要録の管理、教育実習生の受け入れ、式典の運営。
 とにかく雑多な仕事があった。
 半分事務屋だな。雑務係。

 ところが、塾業界における「教務」は授業で生徒を教えること。「教務力」はその能力。
 教務力を伸ばしましょう。
 って、そんなもん伸ばしてどうする。
 と思うのは私のスタートが学校だからである。

 まあ、学校と塾というご近所同士でも使用言語は異なるのであるから、素人の皆さんを相手にするときは、この表現で伝わるか、この言葉で誤解を招かないかということを、よくよく考えたほうがいい。
 というのが今日の結論である。