本日は進路希望調査、職業系専門学科の動向について。
読者から専門学科も取り上げて欲しいという要望があったが、分かってますよ。
自分で言うのも何だが、私は埼玉県受験業界では一二を争う専門学科ウォッチャーだから。
さしあたり、職業系と言われる専門学科の動向を見てみよう。
具体的には、農業・工業・商業・家庭といった伝統的な職業学科だ。
系統別の倍率は次のとおり。カッコ内は前年同期倍率。
農業系 0.86倍(0.96)
工業系 0.87倍(0.96)
商業系 0.70倍(0.74)
家庭系 1.16倍(1.13)
家庭系を除き、いずれも前年同期を下回っている。
◆農業系
農業系の過去4年の同期倍率は、古い順に1.01、0.91、0.99、0.96であるから、今回の0.86倍はここ5年間では最低である。
学校・学科ごとでは、
杉戸農業・生物生産技術 1.80倍
熊谷農業・生活技術 1.45倍
秩父農工科学・農業 1.15倍
杉戸農業・園芸 1.05倍
熊谷農業・生物生産工学 1.00倍
農業系は6校18学科あるが、そのうち1倍超えは上記3校5学科である。
農業系倍率トップの杉戸農業・生物生産技術の過去4年間の同期倍率は、古い順に2.35、1.93、2.08、2.00であるから1.80倍は同校同学科としては、これでも低い方である。このままの倍率で本番を迎えることは考えにくく、過去データから1.20~1.50倍あたりに落ち着くと予想される。
◆工業系
工業系の過去4年間の同期倍率は、古い順に1.00、0.94、0.97、0.96であるから、今回の0.87倍はここ5年間では最低である。
学校・学科ごとでは、
久喜工業・情報技術 2.53倍
川越工業・建築 1.93倍
越谷総合技術・情報技術 1.93倍
川越工業・電気 1.85倍
川越工業・デザイン 1.73倍
浦和工業・情報技術 1.48倍
春日部工業・機械 1.47倍
川越工業・機械 1.41倍
熊谷工業・建築 1.33倍
熊谷工業・情報技術 1.28倍
大宮工業・機械 1.15倍
春日部工業・建築 1.15倍
秩父農工科学・機械システム 1.08倍
三郷工業技術・機械 1.00倍
工業系は14校49学科あるが、そのうち1倍超えは上記9校14学科である。
川越工業は、5学科中、化学科を除く4学科で1倍を超えている。また、春日部工業も3学科中、電気科を除く2学科で1倍を超えている。
それに対し、川口工業(3学科)、児玉白楊(2学科)、狭山工業(3学科)、進修館(3学科)、新座総合技術(3学科)は、すべての学科で1倍を切っている。また、三郷工業技術は5学科中、機械科を除く4学科で、久喜工業は5学科中、情報技術科を除く4学科で1倍を切っている。
建築科は3校にあり、川越工業(1.93)、春日部工業(1.15)が高倍率である一方、大宮工業(0.78)は1倍を切っている。
情報技術科は6校にあり、久喜工業(2.53)、越谷総合技術(1.93)、浦和工業(1.48)、熊谷工業(1.28)が高倍率である一方、新座総合技術(0.85)、三郷工業技術(0.60)は1倍を切っている。
◆商業系
商業系の過去4年間の同期倍率は、古い順に0.80、0.82、0.73、0.74であるから、今回の0.70倍はここ5年間では最低である。
学校・学科ごとでは、
市立川越・情報処理 1.29倍
浦和商業・情報処理 1.24倍
市立川越・国際経済 1.17倍
深谷商業・商業 1.11倍
深谷商業・情報処理 1.05倍
上尾・商業 1.00倍
商業系は17校30学科あるが、そのうち1倍超えは上記4校6学科である。
商業系17校のうち、上尾、鴻巣、鳩ヶ谷、鳩山、八潮南、市立川越の6校は普通科併設校、越谷総合技術、新座総合技術、羽生実業の3校は他の専門学科併設校であり、商業系のみの、いわゆる商業高校は、岩槻商業、浦和商業、大宮商業、熊谷商業、狭山経済、所沢商業、深谷商業、皆野の8校である。このうち1倍超えの学科があるのは、浦和商業と深谷商業の2校だけである。
0.5倍に達しない学科が12学科あるなど、人気低下が顕著である。
◆家庭系
家庭系の過去4年間の同期倍率は、古い順に1.44、1.43、1.38、1.13であるから、今回の1.16倍はここ5年間では2番目に低い倍率である。
学校・学科ごとでは、
越谷総合技術・食物調理 2.20倍
新座総合技術・食物調理 1.63倍
秩父農工科学・フードデザイン 1.35倍
鴻巣女子・保育 1.08倍
家庭系は4校8学科あるが、そのうち1倍超えは上記4校4学科である。
食物調理(フードデザイン含む)は、例年この時期の倍率は比較的高く、過去4年間、1倍を切ったことはない。特に越谷総合技術は、ここ5年間では4回、2倍を超えている。
鴻巣女子・保育も、今回は1.08倍と低いが、過去4年間の同期倍率はいずれも1.5倍を超えている。
以上、簡単だが専門学科のデータまとめである。
各系統とも前年同期を下回っているのは、コロナの影響で体験入学や説明会の機会が減っているためと考えられる。
実際に説明を受け体験してみないと決心できないのは普通科も同じであるが、特に専門学科にその傾向が強いのは明らかだ。
本番までの限られた時間の中で、できるだけそのような機会が持てるよう、各学校にお願いしたいところだ。
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