昨日の続き。というより、こちらが本題だ。
 アマゾンが運営する「キンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)」という電子書籍出版サービスの話。

 最近は、スマホやタブレットで読書する人が増えてきた。
 私もその一人で、読書専用端末のキンドルペーパーホワイトを手に入れ、月額980円のキンドルアンリミテッドを契約し、0円本を読みまくっている。
 むろんすべての本が0円や割引価格で読めるわけではないから、紙の本も従来通り読む。
 以前は、書店でパラパラっとめくって、買おうかどうしようか、でも値段見てやーめた、ということがよくあったが、0円なら悩む必要がなく助かる。
 
 さて、読書スタイルがこのように変わってくると、本を出す側も、最初から電子書籍専門という形で出版するようになる。
 紙の本と異なり印刷製本代がかからない。モノ(形)があるわけではないから流通経費もほぼかからない。
 だから少ない費用で、かつ迅速に書籍を発行できる。
 よって、安く購入できる。何ならタダ。

◆これからは電子出版だ
 こんな便利なシステムを利用しない手はない。
 私も今は読者としてこの流れに乗っているわけだが、近いうちに書籍を発行する側に立ってみよう。
 
 これからは自費出版なんかも電子書籍でいいと思うのだが、人に勧めるのはもう少し後にしよう。
 こういうのは、その気になれば自分で試せることだから、まずは自分が試してみようと思う。

 本はやっぱり紙でしょう。
 そういうご意見の人もいると思う。
 たしかに紙の本ならではの利点もあるので、絶滅することはないだろうとは思う。

 ただ、今どきニュースは紙の新聞で読まないと駄目と考えている人がどれだけいるか。
 写真はフィルムカメラで撮って現像して印画紙に印刷しないと駄目と考えている人がどれだけいるか。
 音楽はレコードやCDで聞かなきゃ駄目と考えている人がどれだけいるか。

 こうした変化を見れば、本は紙の本でなければ駄目という人がいずれ少数派に転落し、本は電子端末で読むものという人が多数を占める時代が間もなくやって来るのではないかと考えざるを得ない。

◆オンデマンドで少部数印刷
 現状では、電子書籍を出版した人の中にも紙の本もあった方がいいと思う人がいるようである。
 そこで、こうしたニーズに応えたのが、KDPの紙書籍出版サービスだ。
 
 印刷は少部数印刷に適したオンデマンドという方式を用いる。
 これ自体は以前からあった方式で、私も学校などから印刷の仕事を依頼された場合、少ない部数だったらオフセットという方式を用いず、オンデマンドで対応する。
 印刷方式は全然違うのだが、仕上がりを見て両者の違いが識別できるのはプロだけだと思う。
 ちなみに「on-demand」は「要求に応じて(注文に応じて)」という意味であるから、必要な時に必要な数だけ印刷できるのが強みである。
 納期が早く、費用が安く、在庫をかかえるリスクもない。
 ただし、何千何万といった大量印刷になると、製版フィルムを用いるオフセットの方が単価は下がる。

 自費出版を考えている方は、まず、ほとんど費用がかからない電子書籍で出して、どうしてもモノ(形)として残したければ、10部とか20部を紙書籍として出すという方法もありだと思う。
 が、先ほども言ったように、まだ自分で試していないので現段階で強く推すことはしない。

◆パンフレットの代わりに文庫本
 今から15年近く前、ある私立高校にパンフレットの代わりに文庫本を作ろうという提案をした。
 ちょうど日本でスマホがデビューした頃だと記憶している。
 
 その時の私の言い分。
 将来は紙のパンフレットに代わり、ホームページが主役となるだろう。
 紙のパンフレットは不要になるかもしれない。
 だから、これからは紙のパンフレットのページ数と印刷部数は減らすことにし、浮いた費用はホームページに回そう。

 ホームページと紙との違いは、絵が動くことと音が出ることだ。
 だから、文字と静止画だけのホームページでは意味がない。
 これからは動画の時代だ。
 ただし、動画制作には技術が必要で、お金もかかる。
 (わが社は動画制作もやっていたので、そっちに誘導しようという魂胆だったが、これは完全に読み違えた。ちょっとした動画なら素人でも簡単に出来る時代になってしまった)

 どうしても紙媒体が欲しかったら、いっそ文庫版か新書版の薄手の本を作って、いつでもカバンやポケットから取り出して読んでもらえるようにしよう。
 (これは実現しなかった。誰もスマホを持っていない時代だったこともあり、紙の本を想定した話だが、今なら電子書籍だろう。現状ではアマゾンの場合、最低でも99円の値付けをしなければならず、学校の宣伝本を有料で買ってくれるかという問題は残るが)

◆パンフは旅のお土産
 以上のように、私の妄想に近い予想はよくはずれるわけだが、それを恐れず語ろう。

 パンフレットで語れることはホームページでも語れる。
 説明資料ならパワポなどプレゼンツールを使えばいい。

 じゃあ何のためにパンフレット作るの?
 私の答えは、パンフレットはお土産

 塾や中学校を訪問するとき手ぶらというのもまずいでしょう。
 だから、ここでは手土産。
 また、説明会などに来てもらって手ぶらで返すのもどうなんでしょう。
 だから、やっぱりお土産。
 おうちに帰って、今日の思い出に浸ってくださいね。

 旅行に行ったとき、写真バチバチ撮ったくせに、名所旧跡のしおりや旅館・ホテルのリーフレットなど持ち帰るでしょう。
 あれに似た感覚。

 中身を読んでもらうだけなら電子書籍でいいのだが、やっぱり形として本棚に飾りたい。
 棺に入れて一緒に焼いてもらいたい。
 サイト上で何でも出来てしまう時代でも、そういう希望はあるわけだ。

 さて、そうなるとお土産物で大事なのは包装紙だから、パンフの表紙もお洒落なものにしなければならない。
 リビングとかサイドボードとかにさりげなく置いても違和感のないやつ。
 と言うより、今風なら「映え」のするやつということかな。
 もしかしたら、「こんなのもらった」ってインスタで拡散してくれるかもしれない。

 まあ、どこまで当たるか分からんが。