埼玉県公立入試において、第2回希望調査(12月15日現在)で定員割れ状態である学校は、はたして本番では1.00倍に到達するかどうか。
 そのあたりを昨年データから探ってみようと思う。
 全校全学科を調べられれば良いのだが、専門学科は定員割れ状態の学校が多過ぎるので、とりあえず普通科(コース含む)に絞る。

 なお、定員割れ状態で本番を迎えれば、基本全員合格である。
 これについては昨年2月に記事を書いた。
 年間を通してよく読まれている記事である。
 「定員割れの学校は受験者全員が合格することになっている」(2021年2月14日)

 昨年は第2回希望調査時点で普通科46校(コース含む)が定員割れ状態(倍率1.00倍未満)であった。
 この中には春日部、熊谷、熊谷女子、松山、松山女子といった伝統校や、学校選択問題採用校である川口北、ここしばらく定員割れを経験したことがない大宮南などが含まれていた。
 これら46校のうち、志願先変更が終了した時点では16校が1.00倍に到達した。
 細かく言えば、ジャスト1.00倍だったのが5校、それ以上だったのは11校であった。
 「16÷46=34.8%」、つまり3分の1強の学校は、何とか定員割れ状態を脱したのである。

◆定員割れ状態脱出の条件は
 第2回希望調査時点(以下、「調査時点」)の定員割れ状態から脱した16校をもう少し詳しく見てみる。
 まず調査時点で0.99倍に達していた学校。
 春日部  0.99→1.28〇
 久喜   0.99→1.09〇
 熊谷女子 0.99→1.13〇
 秩父   0.99→1.01〇
 川口東  0.99→1.03〇
 以上5校は、定員割れ状態で本番を迎えることは避けられた。
 
 次に、調査時点で0.95倍以上だった学校。
 大宮南  0.97→0.98
 ふじみ野 0.97→0.99
 岩槻   0.96→1.03〇
 日高・普通0.96→0.96
 調査時点でここまで来ていれば、何とか1.00倍に届きそうだが、意外にも到達は岩槻のみで、他の3校はほぼ変わらなかった。

 次に、調査時点で0.90倍以上だった学校。
 上尾南  0.94→1.00〇
 熊谷   0.93→1.03〇
 庄和   0.93→0.96
 鶴ヶ島清風0.92→0.95
 松伏・普通0.92→1.02〇
 松山女子 0.92→0.97
 杉戸   0.91→0.91
 日高・情報0.90→1.28〇
 以上8校中、1.00倍に到達したのは半数の4校だった。

 次に、調査時点で0.85倍以上だった学校。
 川口北  0.89→1.05〇
 松山   0.88→0.90
 鴻巣女子 0.87→0.85
 児玉・普通0.87→0.72
 新座   0.86→1.03〇
 桶川   0.86→0.90
 大宮東  0.85→0.95
 白岡   0.85→0.81
 以上8校中、1.00倍に到達したのは2校だった。

 次に、調査時点で0.80倍以上だった学校。
 桶川西  0.82→1.00〇
 越生   0.81→1.00〇
 続いて、調査時点で0.75倍以上だった学校。
 富士見  0.77→1.00〇
 北本   0.77→0.94
 三郷   0.75→1.01〇
 このあたりからの挽回はかなり難しそうだが、以上5校中4校がぎりぎりだが1.00倍に到達した。
 調査時点で、これ以下の倍率だった学校で1.00倍に到達した学校はなかった。

 以上が昨年の結果である。
 では今年を見てみよう。

◆今年も定員割れ状態が予想される学校
 調査時点で定員割れ状態であった学校は41校ある。

 調査時点で0.95倍以上だった学校。
 春日部東 0.99
 志木   0.98
 桶川   0.97
 宮代   0.95
 川越西  0.95
 杉戸   0.95
 ここまで来ていれば1.00倍に到達する可能性は高いが、昨年の大宮南やふじみ野のように0.97から届かなかった例もある。

 調査時点で0.90倍以上だった学校。
 深谷   0.91
 鷲宮   0.91
 昨年の例からすると、届くかどうかは五分五分だ。

 調査時点で0.85倍以上だった学校。
 飯能   0.89
 日高・普通0.88
 川口東  0.87
 羽生第一 0.87
 春日部女子0.87
 八潮・普通0.86
 このあたりから1.00倍に到達するのは難しそうだが、0.90前後の微妙な数字の学校に比べ、受験生としては動きやすいということもある。

 調査時点で0.80倍以上だった学校。
 北本   0.84
 大宮光陵・外国語0.83
 栗橋北彩 0.82
 続いて調査時点で0.75倍以上だった学校。
 小川   0.79
 大宮東  0.78
 岩槻   0.78
 川越初雁 0.76
 白岡   0.75
 以上8校も、可能性はなくはないが、昨年のように一気に上昇する学校がないとは言えない。

 調査時点で0.74倍以下であった学校。
 学校名だけ列挙する。
 和光、庄和、新座、鴻巣女子、妻沼、桶川西、八潮(体育)、飯能南(普)、上尾橘、岩槻北陵、富士見、日高(情報)、越生、蓮田松韻、松伏(情報ビジネス)、三郷、鳩山、児玉(体育)、飯能南(スポーツ)。
 これら19校(コース含む)は、昨年も調査時点において定員割れ状態であった。中にはギリギリ1.00倍に到達した学校もあるが、ほとんどがそのまま定員割れ状態で本番を迎えた。
 低倍率を見て動いて来る受験生もいると思われるが、定員割れ状態を脱するところまでは行かないのではないか。