令和4年度埼玉県公立高校入試の最終データが昨日(3月4日)、発表された。
 この後、追検査や欠員補充が残されているので、厳密には最終データではなく「最終データ(仮)」と言うべきかもしれないが、とりあえずここまでの数字をまとめておこう。
 元の資料はコチラ↓
 令和4年度 埼玉県公立高等学校における入学許可候補者数・欠員補充人員(3月4日発表)

◆概況
 学力検査等を実施したのは、全日制139校、定時制24校である。
 全日制は3万9877人が受験し、3万5119人が合格した。
 定時制は1037人が受験し、1019人が合格した。
 
 定員に満たず欠員補充を行うのは81校である。
 全日制は63校で1682人を募集する。
 定時制は24校が1041人を募集する。

◆超過合格者数
 正式にこのような言葉があるわけではない。
 公立では募集人員から転編入者分を除いた人数を入学者選抜により募集する。
 たとえば、360人募集の学校であれば、入学許可予定者数は358人といった形だ。
 通常、入試における合格者は、事前に公表された入学許可予定者数どおりである。
 が、時には、予定を超えた合格者を出すことがある。
 それが、ここで言う超過合格者である。

 数字は、予定者数→合格者数 +超過人数
【超過合格 +3以上】
 市立浦和  240→246 +6
 川越総合  238→244 +6  
 本庄    318→323 +5
 越谷北(普)318→322 +4
 羽生第一  159→163 +4
 深谷第一  278→282 +4
 浦和一女  358→361 +3
 川口北   358→361 +3
 川越    358→361 +3
 越ヶ谷   358→361 +3
 越谷西   318→321 +3
 上尾(商) 120→123 +3 

【超過合格 +2】
 上尾南・入間向陽・川越女子・熊谷西・草加東・ふじみ野(普)・大宮北(普)・大宮北(理)

【超過合格 +1】
 上尾(普)・伊奈学園・浦和・浦和西・浦和東・熊谷・熊谷西(理)・草加・南稜(普)・南稜(外)・松山(理)・松山女子・浦和南・川口市立(普)・吉川美南(総)

 一時期、上位高倍率校を中心に超過合格者を増やし、事後的に倍率の緩和(不合格者数の減少)が図られたことがあった。
 そのことが頭にあり、「予定以上の合格者出ることがある」と受験生に向けてアナウンスしている人がいる。
 確かに、上記の数字からも分かるように、そのようなことがある。しかし、個別の学校事情により結果的にそうなったのであって、県当局からの指導(指示か?)の下、政策的に増やしたこととを混同してはいけない。
 現在はそのような政策は取られておらず、基本予定者数どおりである。超えるとしても募集人員の枠内だ。

◆固定化しつつある定員割れ校
 専門学科は定員割れ校・定員割れ学科が多いので、ここでは普通科に絞って話を進めよう。
 手員割れにより欠員補充を実施する学校が35校ある(コース含む)。

【普通科のコース】
 現在、普通科のコースは、以下の6校6コースある。
 大宮光陵・外国語
 児玉・体育
 飯能南・スポーツ
 松伏・情報ビジネス
 八潮・体育
 川口市立・スポーツ科学

 このうち大宮光陵(外国語)、児玉(体育)、飯能南(スポーツ)、松伏(情報ビジネス)が定員割れである。八潮(体育)は40人募集に対し40人受験で辛うじて定員割れを免れた。

 学校人気の高い川口市立は別格として、そもそもコースというものに魅力がない。学科ほどの専門性がなく中途半端であり、積極的に選ぶ理由が見当たらない。しかも近年人気薄の外国語系、体育系、商業系であればなおさらだ。

 大宮光陵は、普通科(240人募集)と外国語コース(40人募集)の受験者を合わせれば250人を超えているから、外国語コースの普通科への転換を考えたほうがいいだろう。元々、普通科と芸術系専門学科(美術・音楽・書道)という無理な組み合わせの学校だ。看板であるはずの芸術系も定員割れしていないのは美術だけという状況であるから、荷物は少しでも軽くしたほうがいい。

 松伏は普通科、普通科情報ビジネスコース、音楽科すべて定員割れである。やはり少しでも荷物を軽くしたほうがいい学校だ。

 児玉、飯能南は統合により再編中であり、そこに期待しよう。
 川口市立も今はいいが、将来的にはスポーツ科学はなくてもいいだろう。同じ市立高校として市立浦和の向こうを張ろうというなら、むしろないほうがいい。

【昨年に続き定員割れ】
 昨年に続き定員割れの学校を列挙すると次のとおりだ。
 上尾橘、岩槻北陵、大宮東、小川、川越初雁、北本、栗橋北彩、鴻巣女子、庄和、白岡、蓮田松韻、鳩山、八潮南、和光、鷲宮。

 ロケーションに恵まれていない学校が多い。
 駅から遠い、周辺の人口が減少しているなど。
 大宮東庄和は元々低空飛行だったところに定員40人増が加わったのが痛かった。
 川越初雁は昨年は43人の定員割れだったが、今年は10人にとどまった。惜しいところだった。川越とは言っても、東武東上線「新河岸駅」から徒歩18分(自称)の町はずれ。この条件の悪さをどう克服するかだ。欠員補充常連のこの学校には、川越や川越女子不合格組も入ってきたりする。私立だったこういう連中をうまく伸ばして学校の評判を上げるところなんだが。
 すこし前に、本ブログでこの学校の授業レポートを書いたので、まだの方は是非。
 川越初雁高校で、チャレンジングな授業を見て大満足

【定員増が響いた】
 定員増が響いた学校は前述の大宮東、庄和のほかに、朝霞、川越西、富士見がある。
 朝霞、川越西は昨年までの320人定員であれば、また富士見も昨年までの200人定員であれば、欠員補充は避けられた。
 朝霞は、お隣の朝霞西が定員割れを克服しているわけだし、他にも40人増を乗り切った学校があるのだから、それだけを理由にしないほうがいい。

【定員割らない専門高校】
 最後に専門高校、専門学科について少し触れておこう。
 定員を割っている専門学科が多い中、いずれの学科でも欠員補充をしない学校もある。
 工業系では川越工業、商業系では深谷商業。この2校は他学科からの第二希望合格者も含めてであるが、川越工業は5学科、深谷商業は3学科すべてで定員を満たした(ここでは専門学科のみの学校の話をしている)。

 総合学科校では、川越総合と久喜北陽の2校が定員を満たしている。
 全日制総合学科は9校にあるが、そのうち他学科を併設しないのは、両校を含め6校だが、定員割れを起こしていないのはこの2校だけだ。特に川越総合は安定した募集を続けている。
 川越総合についても、昨年本ブログに訪問記を書いた。
 川越総合は性格がはっきりした総合学科だ 

 以上、昨日発表の「最終データ(仮)」を見ての感想だ。