理数科・外国語科を受検し不合格だった生徒が、第二志望でどれくらい普通科に合格しているかを調査した。

◆理数科から何人が第二希望で普通科に合格したかを推定
 理数科を設置する学校の場合、理数科の方が普通科より合格ラインが高いと推測される。
 したがって、理数科受験者が普通科を第二希望とした場合、理数科は不合格でも普通科で合格となる可能性がある。
 ただし、必ずしも全員が第二志望を書いているかどうかは分からない。

【大宮・理数】
受検  89
合格  40 2.23倍
不合格 49 →普通科合格22
 理数科不合格者の第二希望による普通科合格率は44.9%である(全員が第二希望を書いていたとして)。昨年は51.0%だったので、やや下がった。

【熊谷西・理数】
受検  47
合格  41 1.15倍
不合格 6 →普通科合格0
 第二希望による普通科合格者はいなかった。

【越谷北・理数】
受検  64
合格  40 1.60倍
不合格 24 → 普通科合格7
 第二希望による普通科合格率は29.2%である。昨年の41.4%から大きく下がった。

【所沢北・理数】
受検  96
合格  40 2.43倍
不合格 56 → 普通科合格34
 第二希望による普通科合格率は60.7%である。昨年の24.1%から大きく上がった。

【松山・理数】
受検  66
合格  40 1.65倍
不合格 26 → 普通科合格25
 第二希望による普通科合格率は96.2%である。昨年の86.2%からさらに上がった。
 
【大宮北・理数】
受検  61
合格  42 1.45倍
不合格 19 → 普通科合格17
 第二希望による普通科合格率は89.5%である。昨年の63.5%から大きく上がった。

【川口市立・理数】
受検  73
合格  41 1.78倍
不合格 32 → 普通科合格15
 第二希望による普通科合格率は46.9%である。昨年の42.9%からやや上がった。

 第二希望による普通科合格率を高い順に整理してみると、次のようになる。
 カッコ内は昨年である。

 松山   96.2%(86.2%)
 大宮北  89.5%(63.5%)
 所沢北  60.7%(24.1%)
 川口市立 46.9%(42.9%)
 大宮   44.9%(51.0%)
 越谷北  29.2%(41.4%)
  
 熊谷西は、昨年同様、7校ある理数科のうち、もっとも倍率が低かった(1.15倍)。一昨年は、普通科不合格者が理数科に第二志望合格するという他校とは逆の現象が起きていた。

◆外国語科から何人が第二希望で普通科に合格したかを推定
 理数科の場合、各校とも難易度は普通科を上回っていると考えらえるが、外国語科の場合は、必ずしもそれは当てはまらない。

【春日部女子・外国語】 
受検  53
合格  40 1.33倍
不合格 13 → 普通科合格9
 外国語科不合格者の第二希望による普通科合格率は69.2%である(全員が第二希望を書いていたとして)。昨年の78.9%からやや下がった。

【越谷南・外国語】
受検  28
合格  40 0.70倍
 外国語科は定員割れであり、普通科から12人が第二志望で合格し、定員を満たした。昨年の第二志望による普通科合格率は20.0%であった。

【坂戸・外国語】
受検  41
合格  40 1.03倍
不合格 1 普通科合格0
 第二希望による普通科合格者はなかった。昨年は、普通科から外国語科への第二志望合格が1人あった。

【草加南・外国語】
受検  34
合格  40 0.85倍
 外国語科は定員割れであり、普通科から7人が第二志望で合格し、定員を満たした。昨年も普通科への第二志望合格者はいなかった。

【南稜・外国語】
受検  50
合格  41 1.22倍
不合格 11 →普通科合格0
 合格者41人中2人は普通科からの第二志望合格であるから、外国語科第一志望の不合格者は11人である。

【和光国際・外国語】
受検  127
合格  79 1.61倍
不合格 56 → 普通科合格0
 合格者79人中8人は普通科からの第二志望合格であるから、外国語科第一志望の不合格者は56人である。

【蕨・外国語】
受検  59
合格  40 1.48倍
不合格 19
 蕨は、普通科・外国語の相互の第二志望を認めていない。

※上記のデータは、3月4日県が発表した入学許可候補者数と、各学校が発表した合格者番号に基づいている。
 合格者番号は、各学校とも学科ごとに番号を割り当てている。
 たとえば、普通科は1000番台、理数科は2000番台という形である。
 したがって、このような場合、普通科合格者の中に2000番台があれば、理数科からの第二志望合格だったと判断できる。

◆外国語科の存在意義を問う
 外国語科は7校ある。
 このうち、普通科、外国語科共に高倍率を維持している蕨は、とりあえず別枠で考えよう。

 残る6校のうち、越谷南と草加南は定員割れである。ただし、普通科からの第二志望合格に助けられ、辛うじて欠員補充だけは免れている。
 坂戸も2年連続の定員割れは避けられたが、受験者41人、合格者40人で、ほぼ全入である。
 和光国際と南稜は、普通科、外国語科共に比較的高倍率を維持しているが、外国語科不合格者が第二志望で普通科に拾われるという現象は起きておらず、逆に、普通科不合格者が外国語科に回ってきている。
 春日部女子のみ、「外国語科不合格→普通科第二志望合格」という現象が起きている。

 外国語科に対する一定の需要があるのは確かである。
 だが、現状を見ると、全県で7校も必要かとなると、疑問符が付く。
 外国語科の不足を普通科希望者で補うというのは、専門学科のあり方として、それでいいのか。

 逆パターン、つまり「外国語科不合格→普通科第二志望合格」であれば、選択科目の工夫などにより外国語を学びたい欲求に何とか答えられるかもしれない。しかし、専門学科である外国語科を、それほど積極的に学びたいとは考えていない生徒で満たすのは、ただの人数合わせであり、学校のたっめにも、生徒本人のためにも良いことだとは思えない。
 

◆時代は外国語科ではない
 外国語科というネーミングは埼玉県特有のものである。
 東京にも、神奈川にも、千葉にも、公立の「外国語科」は存在しない。
 あるとすれば、「国際(学)科)」、「国際教養科」など、国際を冠した学科だ。
 全国を見渡しても、「英語科」は多少あるが、「外国語科」は稀有だ。

 だからまず、このネーミングを何とかしよう。

 中身も外国語(英語)そのものを学ぶのではなく、それを用いて世界の政治や経済や文化や歴史を学ぶ学科に衣替えしよう。
 学校の公用語(校用語かな?)は英語にしよう。
 修学旅行は当然海外。
 転編入枠は要らないから、留学生枠を用意しておこう。
 授業は全部英語、とは行かないが、数学でも、物理でも、世界史でも、英語でやればいい。
 体育なんかは日本語禁止でもやれるだろう。

 まあ、とにかく中身も外見も一体改革しないと外国語科の将来は暗い。

 後半は私見に終始したが、第二志望合格の実際についてであった。