ここしばらく、必要あって埼玉県立総合教育センターとやり取りをしている。
 と言っても、普段から新聞用取材で定期的に訪れているし、特別なことをしているわけではない。

 今日ここで紹介したいのは、ここに「教育DX担当」の肩書を持つ指導主事がいることだ。
 そういう部とか課や係があるわけではない。
 担当レベルだ。
 それにしても、いよいよDXが登場したかという感じだ。
 県教育局にはICT教育推進課というのがあるが、DXはまだ無いと思う。
 (私が事情に疎いだけで、すでにあるのかもしれないが)

 このブログにも「ICT教育」というカテゴリーがあるが、こうなるとDXを加えなければならんな。
 そう考えて、従来あった「ICT教育」を「DX・ICT教育」に変更しておいた。
 
 DXは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略である。
 これは今や常識。
 ちなみに経済産業省はDXを次にように定義している。
 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。

 面倒だが、少し細かく見て行こう。
 まず「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し」の部分。
 これは今に始まったことではない。
 変化への対応はいつの時代にも必要なことだ。

 次に、「データとデジタル技術を活用し」の部分。
 デジタル技術の活用も、さほど目新しいものではない。
 問題は「データ」の活用だ。
 これも急に言われ始めたものではない。
 ただ、「データとデジタル技術」を並列したところが、やや新しいと言えるかもしれない。

 次に、「顧客と社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを改革するとともに」に部分。
 顧客ニーズをもとに製品やサービスを改革するのは、わざわざ言われなくても、企業が昔からやっていることだ。

 次に、「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を改革し」の部分。
 これまた企業が昔から挑戦を試みていることである。
 ただ、そのための方法論として、意識改革などというフワッとしたものではなく、データとデジタル技術の活用を挙げている点が異なる。

 最後に、「競争上の優位を確立すること」
 これはもう、言われなくても日々そのために努力している。

 ということで、言わずもがなの部分を削除すると、次のようになる。
 「データとデジタル技術を活用して、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革する」。
 
 では教育DXは?、となるが、経済産業省の定義に倣えうならば、こうだ。
 「データとデジタル技術を活用して、業務そのものや、組織、プロセス、学校文化・風土を変革する」。
 
 つまり、勘や経験に頼るだけでなくデータを活用しよう。
 デジタル技術の活用は、ICT教育という形でかなり進んできた。
 よって、今後の課題はデータ活用である。
 もちろん、そのためにはデジタル技術の活用が欠かせない。

 学校の業務は、大きく教育と、それに付随するその他の業務に分かれる。
 ICT教育を推進すれば、教育の改善、改革が進展する。
 しかし、もう一つの業務、よく雑務などとも言われる部分であるが、ここの改善、改革は、今進められているICT教育では必ずしも実現できない。
 そこでDXである。
 DXは、教育活動含む先生の仕事全般の改善、改革を目指すものである。

 DXを推進すれば、学校文化や風土を変革できるのか。
 それほど万能ではないだろう。
 要するに、ここは「働き方改革」のことを言っているのだ。

 以上を踏まえて、さらに書き換えてみる。
 「データとデジタル技術を活用して、学校や先生の業務全般の内容や進め方を改善し、働き方改革を実現する」。
 これでどうだ。
 このように考えれば、具体的にどんな取り組みが必要かが、少しははっきりしてくるのではないか。