先生の業務負担を軽減しなければならない。
 負担を軽減するためには、二つの方法が考えられる。
 一つは人員を増強することである。
 もう一つは業務そのものを減らすことである。

 どちらか一方をやればいいというものではない。
 両方やるのがいいだろう。

 考え方(方法論)として割と易しいのは人員の増強である。
 法改正して定数を増やせばいい。
 ただし莫大な予算が必要になる。
 
 教員など公務員は、基本終身雇用である。
 その身分は法や規則で保障されている。
 新卒一人を採用すれば再雇用を含め約40年間、その身分を保障することになる。
 (不祥事など起こせば別だが)
 公立教員の生涯年収は約3億円である。
 
 文部科学省の調査データをもとにして、ざっくりと計算してみると、だいたいそんなところだ。
 詳しく調べたい人はこちら。
 ただし、生涯年収という項目はない。
 学校教員統計調査(文部科学省)

 先に進もう。
 
 業務そのものを減らす件だ。
 こちらも予算が必要だ。
 たとえば、ある業務を外部委託しようとすれば、そのための予算が必要になる。
 しかし、もっと難しいのは、業務仕分けだ。
 
 今後も学校や先生が継続すべき業務。
 今後は学校がやらなくてもいい業務。
 また、必要ではあるが、一部ないし全部を外部に委託していい業務。

 この仕訳の難しさは、学校単独では出来ない点にある。
 児童生徒やその保護者の納得が必要だからだ。
 さらに言えば世の中全体の合意形成も必要になる。
 最初に、考え方(方法論)として比較的易しいのは人員増強だと書いたのは、このためだ。

 さて、そんな中、次のようなニュースを見かけた。
 学校支援スタッフ、大幅増へ 教員負担減、授業に注力―文科省(時事通信)

 文部科学省は、「教育業務支援員」の大幅増を目指し、その人件費を来年度予算概算要求に盛り込むという。
 昨年度39億円のところ、103億円の大幅増額を求める方針だ。

 「教育業務支援員」は、学校教育法施行規則に定めがある。
 昨年(令和3年)8月にその改正趣旨が各都道府県等に通知されている。
 学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)

 「教育業務支援員」は、次のような業務に当たるとされている。 
 1 学習プリントや家庭への配布文書等の各種資料の印刷、配布準備
 2 採点業務の補助
 3 来客対応や電話対応
 4 学校行事や式典等の準備補助
 5 各種データの入力・集計、掲示物の張替、各種資料の整理等の作業

 なんか、まとまりがないな。
 と言うか、狙いがはっきりしない。
 こいつはツッコミどころ満載だ。
 この部分だけ、もう一度別記事で書くことにしよう。

 一つだけ指摘しておく。
 たとえば「2採点業務の補助」と「3来客対応や電話対応」の二つ。
 前者は深く教育そのものに関わる業務。
 後者は教育とは直接関わらない業務。

 仮に「2採点業務の補助」に重きを置くなら、教員OBなどが最適だろう。
 また、「3来客対応や電話対応」なら秘書や受付経験者などが最適だ。

 「教育業務支援員」の人件費は国が3分の1、残りは自治体が負担する。
 採用は自治体が行う。
 特に資格は求めない。

 さて、一体どういう人材を採用すればいいのか。