夏休み明けはドキドキだよ。
 というのは、はるか昔、先生だった頃の思い出話。

 私の場合、高校教員だったし、生徒指導上の問題も少ない学校だったので、急に学校に出て来なくなるような生徒は基本的にはいないわけだが、それでも長い休み明けは心配になる。
 とりあえず元気な顔を見られれば一安心。

 そして、まあまあ元気そうな顔を確認したら、お約束の厳しい一言。 
 「いつまでも夏休み気分引き摺ってんじゃないぞ」。
 まあ本音のところでは、「残暑も厳しいし、ぼちぼちやろうぜ」なのだが、そうそう甘いことも言っていられない。

 ただこれは30年以上前の話。
 たぶん今は、こうは行かない。

 思い出話、ここまで。

 長期休業明けに児童生徒の自殺が多いと言われている。
 どのくらい多いのか念のために調べてみよう。

 ここに文部科学省がまとめた児童生徒の自殺に関する資料がある。
 「児童生徒の自殺対策について」(令和4年2月 文部科学省)
 
 なるほど。 
 これを見ると、突出しているというほどではないが、たしかに夏休み明けの8月、9月は件数が多い。
 自殺という最悪の結果に至らなまでも、不登校になったり、心身に不調を来したりというのは、休み明けに起こりがちな現象だ。

 自殺の原因・動機については、次のようなものが多いと分析している。
 1 学業不振
 2 進路に関する悩み(入試以外)
 3 親子関係の不和

 本人に尋ねるわけに行かないから推測ということだと思われるが、「学校問題」が上位となっている点には注目しておくべきだろう。
 子供たちの小さな変化を見逃さない。
 これは普段でもそうしているわけだが、特に休み明けは細心の注意が必要だ。

 そのためには先生自身が心身共に健康であることが前提となるから、本記事をお読みになられた管理職の皆さんは、先生方の小さな変化を見逃さないようお願いしたい。
 管理職経験の無い人間が言うことだから、あまり当てにはならないが、「何かあったら遠慮なく相談を」と言うが、これは言うほど簡単ではない。
 先生と児童生徒との関係もそうだが、普段からの声がけが大切だ。
 日頃会話を交わしたことのない人間に相談などできるか。

 と、こんな順番で考えると、校長や教頭や幹部クラスの先生方が、健康でなければならないということになる。
 まあ、70歳過ぎのジジイが心配することでもないが。