塾の先生方はすでに新年度に入っていると思われるが、令和5年度埼玉県公立入試はまだ続いている。
 いくつかのニュースを紹介しておこう。

◆全日制51校で欠員補充
 3月8日、県教委から欠員補充についての発表があった。

 令和5年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における欠員補充人員について

 募集人員、日程等についてはこちら。
 令和5年度埼玉県公立高等学校入学者選抜に関する情報

 全日制は51校で1485人の欠員補充が行われる。
 定時制は24校981人の欠員補充が行われる。
 選抜日は学校ごと異なるが、3月17日(金)、20日(金)が多く、一部22日(月)の学校もある。
 学力検査は5教科を実施する学校がごく一部あるが、ほとんどが英語・数学・国語の3教科だ。
 合格発表は大半が校内掲示で、一部HP発表がある。電話連絡の学校が1校だけある。学校に行かずに済むWEB発表がいいと思うが、合格なら手続きで学校に行く必要があるので校内掲示でよいという判断なのだろう。

◆追検査の問題も要チェック
 3月6日、追検査の問題及び採点の手引きが発表されている。

 令和5年度埼玉県公立高等学校入学者選抜学力検査問題等

 同じ出題方針に基づいて作られた問題なので、今年の傾向、特徴を再確認する意味で、目を通しておいた方がいいだろう。
 市販の問題集には掲載されない。
 塾の先生方には、次年度の演習用に保存しておくことをお勧めする。

◆調査書得点にミスがあり、1名が追加合格
 県教委は3月8日、全日制1校で調査書得点の電算入力にミスがあり、1名を追加合格としたことを発表した。

 令和5年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における事故について

 一度は不合格となった受検生は3日の発表当日、大いに落胆したことだろう。
 私立に併願していたとしたら、即学費を振込み入学手続きをしていたかもしれない。
 あるいは欠員補充への応募を検討していたかもしれない。
 いずれにしても、親子ともども気持ちを切り替え、次に向けて動き始めたところに「実はあなた合格でした」と言われたのであるから、さぞ複雑なお気持ちだったろうと推察する。
 当該校には猛省を促したい。

 ニュースの紹介ついでにもう一つ。
◆障害もつ受験生が4年連続不合格
 こちら毎日新聞の記事。

 「定員内不合格出さないで」 重い障害のある受験生の保護者が訴え(3月7日 毎日新聞) 

 詳しい事情が分からないので軽々には言えないが、なぜ特別支援ではダメなのかと思う。
 仮に学力が合格水準に達していたとしても、一般の高校は施設的にも人員的にも重度の障害を持つ生徒を受け入れられるようにはできていない。
 また義務教育の小中と異なり単位取得が卒業の要件となる高校で、高校生活を全うできるかも疑問だ。

 障害を持つ生徒にも学ぶ権利がある。これは誰もが認めるところだ。
 インクルーシブ教育が理想であり、一つのゴールである。これも異存なし。
 ただ、その前提として特別支援教育への理解を深め、さらに充実させなければならない。これが現在地。

 そんな中、定員内不合格は不当との論理をかざして、同じ県立高校を4回も受験させるとは、それこそ子供の学ぶ権利を奪っているのではないか。
 たとえそれが本人の意向だったとしても、専門教育を受けた教員の下、個別の指導計画による個別の教育支援を受けた方が良いと親として説得する気持ちはないのか。

 この記事は千葉県の事例である。
 千葉県のことはよく分からないが、埼玉県では特別支援学校の高校内分校という取り組みが進んでいる。
 すでに7校あり、今年度と来年度に各3校が開校する。
 私が実際に見たのは、草加西高校内にある草加かがやき特別支援学校草加分校のケースだが、学習や行事において普通高校生とさまざまな交流が行われている。知的障がいがあるが自力通学が可能な生徒たちという条件付きではあるが、こうした取り組みがインクルーシブ教育への架け橋となろう。