今日は埼玉県公立高校の募集担当者向けである。
 少し前にこんな記事を書いた。

生徒募集に苦しむ学校は前半戦を戦っていないからだ(2月27日)

 今日の話はその続編となる。
 既出の記事をまだお読みでない方は、併せてお読みいただきたい。

◆10月1日現在調査の意味は
 例年10月1日現在で第1回進路希望状況調査が全県的に行われる。
 調査日は中学校ごと異なるので、高校側募集担当者としては9月中の調査と考えたほうがいいだろう。
 もっと言えば、夏休み明け時点の希望調査くらいに見ておいたほうがいい。

 ということは、ここに反映されるのは、夏休みの終わる8月下旬までの募集活動の成果である。
 この数字を動かしたかったら、4月から8月にかけて5か月の活動見直しが必要だ。

 よく「第1回の結果は気にしなくていい」と言われる。
 が、これは塾や中学校の先生方が、高倍率に驚いて志望校を下げないように生徒に対して言う言葉だ。
 高校側募集担当者が一緒になって「気にしなくていい」などと言ってはいけない。
 本番の倍率よりも、第2回調査の倍率よりも、この第1回調査の倍率こそがもっとも重要なのだ。

◆ここで定員割れだと後から挽回できない
 第1回調査で一定の数字を残しておくことがいかに重要かを説明しよう。
 第1回で定員割れだった学校が、最終的にどこまで挽回できたかを、今年度(令和5年度入試)の数字で検証してみる。
 なお、最終的な倍率は学力検査当日の倍率を用いた。カッコ内は定員である。

【第1回で0.50倍未満】
上尾橘(160)  0.40 → 0.59
越生(80)    0.41 → 0.54
児玉(80)    0.48 → 0.76
蓮田松韻(200) 0.32 → 0.60
鳩山(120)   0.39 → 0.50
日高・情報(40) 0.35 → 0.95
富士見(200)  0.43 → 0.98
三郷(200)   0.43 → 0.81
妻沼(120)  0.40 → 0.84
八潮・体育(40) 0.43 → 0.45
 8校2コースあったが、いずれも1.00倍に届かなかった・
 富士見が0.98まで上げてきたがここまでが精一杯。

【第1回で0.70倍未満】
岩槻北陵(160)0.57 → 0.86
桶川西(160) 0.52 → 0.83
川越初雁(200)0.56 → 1.03
栗橋北彩(200)0.60 → 0.90
白岡(160)  0.62 → 0.92
新座(200)  0.66 → 1.08
松伏・情報(40)0.68 → 1.10
八潮(120)   0.68 → 0.89
和光(160)   0.69 → 0.94
 川越初雁と新座がよく1.00倍超まで上げてきたが、ここから定員確保まで上げて行くのはかなり厳しいことが分かる。

【第1回で0.90倍未満】
大宮光陵・外国語(40)0.78 → 1.08
大宮武蔵野(240) 0.87 → 0.97
小川(200)    0.75 → 0.93
北本(160)    0.72 → 0.86
鴻巣女子(80)  0.87 → 0.95
杉戸(280)   0.87 → 1.02
秩父(200)   0.88 → 0.89
鶴ヶ島清風(200)0.74 → 1.08
羽生第一(160) 0.74 → 0.92
飯能(280)   0.81 → 1.01
日高(120)   0.81 → 1.07
深谷(200)   0.89 → 1.05
松山(280)   0.86 → 0.96
宮代(200)   0.82 → 1.04
 13校1コースあった。
 このあたりまで来ていれば何とかなりそうだが、定員超えに辿り着いたのは半数の6校1コースだった。

【第1回で1.00倍未満】
桶川(280)   0.93 → 1.04
春日部(360)  0.99 → 1.30
春日部東(320) 0.96 → 1.04
川口東(280)  0.97 → 1.14
久喜(280)   0.90 → 1.13
熊谷(320)   0.99 → 1.12
熊谷女子(320) 0.99 → 1.13
新座柳瀬(200) 0.92 → 1.15
ふじみ野(120) 0.92 → 1.03
松山女子(320) 0.97 → 1.12
三郷北(240)  0.99 → 1.00
 第1回で0.90倍以上だった学校はすべて定員割れを回避した。
 1.00倍を超えておくのが理想だが、最低でもこの時点で0.90倍を超えていないと、後半戦でどんなに頑張っても挽回できないということだ。

◆前半戦の戦い方
 繰り返すが、第1回調査は8月までの活動の反映なので、ここで1倍超えを目指すには、1学期及び夏休み中の活動がカギになる。

 いくつかチェックポイントを挙げておく。
1 この間に進学フェアや合同説明会などへの参加予定があるか
2 1学期に説明会、授業公開などを予定しているか
3 夏休みに説明会、体験入学などを予定しているか
4 1学期に中学校訪問塾訪問などを予定しているか
5 遅くとも5月中旬~下旬までにパンフレットやポスターを準備できるか
6 連休明けぐらいまでにホームページを新年度仕様に更新できているか

 昨年と同じことをやっていれば、相手(受験生)が変わっても出て来る結果は同じだ。
 上に挙げたことは私立ならどこでも当たり前にやっていることだ。
 現状打破のために、何か一つでも変えてもらえたらと思う。