締め切りのある原稿書きに追われ、腱鞘炎になりそうだ。
 その前に目がやられそうだ。

 身体の各パーツには耐用期限というものがある。
 機械であれば新品と交換すれば済むわけだが、残念だが身体はそういうわけにはいかない。
 と、愚痴はここまで。

 来週、学校の先生方向けのオンラインセミナーがあり、講師を務める。
 テーマは広報活動、特にホームページやSNSの使い方だ。
 ブログ読者の中にも参加される方がいるかもしれない。
 高校の先生方だけなら生徒募集に特化した話でいいが、小中、高校、特別支援と参加者の幅が広いので、「そもそも広報」の話から始める必要がありそうだ。

◆広報とPRはどこが違うのか
 広報はPRとも言われる。
 というか、PRの訳語が広報である。
 PRはパブリックリレーションで、リレーションという語からも分かるように関係性を良くするための活動だ。
 現代風に言えば、コミュニケーション活動だ。

 広報という語からは、広める、報せるというイメージしか浮かばない。
 本来は発信と受信と両方の意味を持つのだが、どうも訳し方が良くなかったようだ。
 そこで、役所などはわざわざ広報広聴という言い方をしており、そういった部署もある。

◆渉外改め広報
 学校には広報と名の付く部署があるだろう。
 なかったら、部であれ、委員会であれ、チームであれ、作ったほうがいい。
 地域や社会に開かれた学校を目指すなら、今や欠かせない部署である。

 その昔、公立高校には「渉外」という分掌があった。
 今でもたぶんありそう。

 「渉外」は外部との交渉に当たるというほどの意味か。
 かつてはPTAだけを相手にしていれば良かったが、付き合うべき外部の範囲が広がった。
 ほとんど役所と学校でしか通用しない呼称を改め、各分掌に分散していた役割を広報という名のもとに統合したらどうかと思う。

◆広報には即効性がない
 広報活動の対象は幅広い。
 学校と利害関係を持つすべての人々が対象となる。
 在校生・保護者はもちろん、卒業生、地域住民、行政、企業、マスコミ、これらすべてが対象者であり、この対象者のことをステークホルダーと呼ぶ。

 ステークホルダーと良好な関係を築くことが本来の広報活動である。
 なのだが、特に高校においては、入試広報とか募集広報という名称からも分かるように、入試や生徒募集と強く結びついている。
 もちろん、それ自体はいいのだが、それらは本来の広報活動の一ジャンルであるという認識は必要だろう。
 入試や生徒募集とは直結しない、あるいはほとんど無関係の広報活動もあることを頭に入れておこう。

 広報活動は即効性を持たない。
 長期にわたり、継続的に行う活動である。

 広報活動を強化しても、ただちに志願者や受験者・入学者が増えることにはならない。
 志願者を増やすための即効性のある活動は、広告活動であり、セールスプロモーション活動であり、営業活動である。
 これが合わさらないと、広報活動単独では志願者増にはつながらない。

 以上、来週のセミナー参加者のための予習である。