本日は公立高校の校長ブログの紹介から。

 【校長ブログ】男子校の魅力とは何か?~NHK「男子校“筑駒”文化祭」を見て感じたこと~(春日部高校 7月19日) 
 
 タイトルにあるように男子校の魅力について語っているのだが、今日取り上げるのはそこではない。
 最後の方にこのような一節がある。
 「グループリーダーという権限を持つ者が統率力を発揮する従来型のリーダーシップではなく、権限を持たない者同士がチームワークでお互いに支え合いながら行事をつくりあげていくという新しいタイプのリーダーシップ(私は「21世紀型リーダーシップ」と言っています。)が育まれていると思っています」
 
 最近私はリーダーシップ論に嵌っているのである。
 まだ勉強は緒に就いたばかりなのであるが、つい最近もこんな記事を書いた。
 
 学校目標にリーダー育成を掲げるならこの一冊(2023年5月31日)
 
 その時も紹介したのだが、もう一度。
 

 この本の筆者(早稲田大学の日向野幹也先生)は、一人ひとりにリーダーシップが求められる時代になったと述べている。
 少数の(あるいは、一人の)リーダーが存在するのではなく、グループに参加しているみんなが、代わる代わるリーダー役割を果たして行くのが、これからのリーダーシップなのだと述べている。
 これは私の考えにきわめて近い。
 などと言うと生意気だが、昔からぼんやりとは考えていたのだ。
 だが、学のない悲しさで深めることができなかった。
 この本を読んで、自分がうっすらと考えてきたことがスッキリとまとまった。
 やっぱり学問をやっている人は違う。

 先生方がクラス経営をされる際に、あるいは部活指導をされる際に役立つヒントが満載だ。
 そして、この本は組織論という視点から見ても有益な情報が得られるので管理職の先生にもお勧めできる。

◆リーダーの育成を掲げる県立高校
 県教委のサイトに次のような資料がある。

 県立学校の活性化・特色化方針

 この中に、各学校の「目指す学校像」が示されているわけだが、たぶんリーダーの育成を掲げている学校があるはずだ。
 では、調べてみよう。

●浦和
尚文昌武の理念のもと、時代の求めるリーダーの育成を目指す
●浦和一女
魅力あるリーダーを育成する女子高校
●大宮
勉強と部活動等の両立の実践と自主自律の精神の涵養により、高い志と強い使命感を持った未来を創るトップリーダーを育てる学校
●春日部
校訓「質実剛健」、教育方針「文武両道」を実践し、広く社会で活躍できるリーダーを育てる進学校
●川口北
文武両道の精神のもと、高い志と品格を備えた未来を拓くグローバルリーダーを育成する学校
●川越
新たな時代に向けて、伝統ある進学校としての期待に応えつつ、自主自立の校風を継承・発展させ、リーダーとなる良識ある人材を育成する
●越ヶ谷
「知・徳・体」の調和がとれた社会の発展に貢献するリーダーの育成
●越谷北
高い理想と豊かな人間性を兼ね備えたグローバルリーダーを育成する
●坂戸
文武に秀で、地域に愛され、国際感覚を持つ社会のリーダーを育てる学校
●所沢北
たくましい知性としなやかな感性を備え、高い倫理観とグローバルな視野を持って、地域や社会の持続的発展に貢献しようという高い志を有するリーダーを育成する
●不動岡
明日の世界を創造する品格あるリーダーの育成
●本庄
個性を伸ばし、持続可能な社会のリーダーとして世界にはばたく「高い志」を持った生徒の育成
●松山
建学以来の伝統である「文武不岐」に基づき、幅広い教養と礼節を備え、社会に貢献できる品格あるリーダーを育成する
●和光国際
国際社会で必要とされるグローバルリーダーの育成
●蕨
グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる

 だいたい予想通りの顔ぶれだ。
 伝統校が多いが、川口北、越谷北、坂戸、所沢北、和光国際といった比較的歴史が浅めの学校も含まれている。

◆新しいリーダーシップはどこの学校にも必要
 上に挙げた学校がリーダー育成を掲げるのは何となく理解できる。
 しかし、これからの時代がみんなにリーダーシップが求められる時代であるとするなら、リーダーの育成を伝統校や進学校だけにまかせておくわけにはいかない。
 「うちは中堅人材を育てる学校だから・・・」では済まないのだ。
 むしろ、中堅人材にこそリーダー教育、リーダーシップ教育が必要なのだ。

 リーダー=人の上に立つ人。
 学力があって、体力もあって、統率力・洞察力・決断力があってというのが今までのリーダー像。
 
 だが、春日部高校・上原校長の言う「21世紀型リーダーシップ」は、どんな学校・学科の、どんな生徒にも身につけてもらいたい力なのである。