日曜日に全日本大学駅伝大会が開催された。
 テレビ中継(テレビ朝日)もあったが、人が走るのを何時間も見ているくらいなら、その時間を自身のランニングに当てよう。
 2時間ほど走ってきた。

 それに、実況アナウンサーの絶叫が聞くに堪えない。
 画面に映ってるんだからさ、いちいち大声上げなくたって見れば分かるよ。
 でも、ディレクターから命令されてるんだろうね。
 とにかく叫べ、と。

 野球でもサッカーでも、スポーツ中継は消音モードで見るのがおすすめだ。
 だが、ラグビーなどはいまだにルール解説抜きでは何が起きているのか分からない。
 その点、駅伝やマラソンはただ走るだけなので余計な解説は要らない。
 いいから黙ってろ。

 仕事柄、選手の出身校には関心がある。
 今年の大学駅伝では各大学エース級に埼玉県出身者が少ない。
 国学院大のアンカー・伊地知賢造選手(松山)くらいか。
 中央大・本間颯選手(埼玉栄)、国士舘大・生駒直幸選手(花咲徳栄)はまだ若いので(1・2年)将来に期待だ。

 ところで、駅伝という競技が日本独特であることは皆さんご存知だろう。
 秋冬シーズンは、それこそ毎週のように、どこかで駅伝レースが開催されテレビ中継される。
 野球でさえも地上波では辛うじて日本シリーズが生中継される程度なのに、駅伝ときたら高校生、大学生、実業団とあらゆるカテゴリーの大会が中継されるのだ。

 テレビ中継されるということはスポンサーがつくということだ。
 スポンサーがつくのは視聴率が取れるということだ。
 つまり、みんな見ている、みんな大好き駅伝競走なのである。

 持久走大会が無い高校に行きたいなどという子もいるくらいだから、自分が走るのは嫌いな人は多い。
 だが、他人が走るのを見るのは大好きということだ。

 前述のように駅伝は日本で独自に発達した競技だ。
 これだけ人気があり、才能のある選手たちが集まる競技だが、その割にオリンピックなど国際的な大会で活躍する選手が少ない。
 むろん、かつてはオリンピックや世界選手権でメダルを獲るような選手もいたわけだが、駅伝人気の高まりと共に世界の舞台で活躍する選手が激減した。
 多くの人が言っているようにガラパゴス化した駅伝の弊害であろう。

 汗の沁みついた襷(たすき)を我を捨てチームの為に命懸けで繋ぐというあたりが日本人の心性にピッタリなのだろう。
 これは遺伝子レベルで引き継がれている可能性もあり、これからも変らないかもしれない。
 しかし駅伝は、トラックの5000メートルや1万メートルやマラソンとは別の競技だ。

 トラックの長距離やマラソン選手が、練習の一環として駅伝に出るのはありかもしれない。
 だが、駅伝の練習をいくらやったって、トラックの長距離やマラソンで勝つことはできない。
 こんなことは、日本の長距離指導者はみんな分かっている。
 分かっていながら、大学や企業の広告宣伝の事情で駅伝至上主義を取らざるを得ない。
 結果、若い才能を潰すのである。

 日本的伝統の中に生きるのも悪くはない。
 しかし、世界の舞台で自身の才能を伸ばし活躍したいと思う選手は、これからは箱根など目もくれず海外大学やクラブチームを目指したほうがいいだろう。