本日は地味目な企画である。
 埼玉県内公立(普通科)の低倍率校は、どのような募集広報活動をしているかを調査した。

 本ブログの過去の動向を見てみると、いわゆる上位進学校を取り上げた時に、検索サイトからの流入が多く、閲覧数が増えることが確認されている。人気薄の学校を取り上げても閲覧数は伸びないのだ。
 そういう意味で地味な企画。

 しかし、受験情報誌などでもほとんど取り上げられない学校のことを話題にする人間が一人や二人いてもいいだろう。ということで、低倍率が今日のテーマだ。
 
 各学校にはそれぞれポジションというものがあり、それに応じた募集活動がある。
 だから、人気薄の低倍率校が、超人気校と同じような生徒募集活動をしても意味はない。その点は注意しながら見て行こう。

 今回主に調べたのは、説明会の時期や回数、それとホームページ等による情報発信についてだ。

◆這い上がれるか蓮田松韻
 第1回進路希望調査において、普通科で0.5倍未満だった学校が3校あった。つまりワースト3だ。
 いずれも昨年度、欠員募集を実施した学校である。

●桶川西(160人募集)
今期第1回倍率 0.38倍
昨年最終倍率 0.83倍(欠員募集27人)
今期説明会 4回(7・11・12・1月)

上尾橘(160人募集)
今期第1回倍率 0.41倍
昨年最終倍率 0.59倍(欠員募集64人)
今期説明会 2回(7・10月)、個別相談随時

蓮田松韻(200人募集)
今期第1回倍率 0.42倍
昨年最終倍率 0.60倍(欠員募集76人)
今期説明会 4回(7・10・12・1月)、夜間説明(7・9・10・11月)

 蓮田松韻は通常の説明会4回に加えイブニング説明会4回、部活体験4日間と意欲的だ。
 ホームページ新着情報更新も11月だけで33件と、これは県トップレベル。InstagramやX(Twitter)といったSNS公式も運用しており、現状から脱却したいという思いが伝わってくる。

 ※桶川西は、HPに無断転載禁止とあったので、リンクは貼っていない。

◆定員増の鶴ヶ島清風、持ちこたえるか
 次に、第1回進路希望調査で0.5倍台だった4校である。

鶴ヶ島清風(240人募集)
今期第1回倍率 0.50倍
昨年最終倍率 1.08倍
今期説明会 4回(7・11・12・1月)

栗橋北彩(200人募集)
今期第1回倍率 0.53倍
昨年最終倍率 0.90倍(欠員募集19人)
今期説明会 5回(9・10・11・12・1月)、体験(7月)、個別(12・1月)

●北本(160人募集)
今期第1回倍率 0.54倍
昨年最終倍率 0.86倍(欠員募集23人)
今期説明会 3回(8・9・11月)、ミニ説明(12・1月)

妻沼(120人募集)
今期第1回倍率 0.56倍
昨年最終倍率 0.84倍(欠員募集19人)
今期説明会 3回(8・11・1月)、夜間(12月)

 鶴ヶ島清風は昨年、第1回、第2回調査時点では定員割れ状態だが、最終的には1.08倍まで上がった。ただ、今期は200人から240人への定員増となっており、これに耐えられるかどうかだ。ホームページ新着情報更新は11月に入って10件とまずまず。部活情報に偏らず、授業、進路、行事など学校生活の様子を幅広く伝えようとしている点が個人的には高評価だ。
 妻沼は11月に入りホームページ新着情報更新が12件あった。時節柄修学旅行が半数を占めるが、進路や行事の様子も伝えている。

 ※北本は、HPに無断転載禁止とあったので、リンクは貼っていない。

◆川越初雁、次のステージに進めるか
 最後は第1回進路希望調査で0.6倍台だった7校である。

川越初雁(200人募集)
今期第1回倍率 0.61倍
昨年最終倍率 1.03倍
今期説明会 6回(7・9・11・12・1月、※1月2回)、個別(11月)

三郷(200人募集)
今期第1回倍率 0.63倍
昨年最終倍率 0.81倍(欠員募集37人)
今期説明会 4回(8・11・12・1月)

宮代(200人募集)
今期第1回倍率 0.65倍
昨年最終倍率 1.04倍
今期説明会 5回(8・9・10・11・12月)、相談会(1月2回)

白岡(160人募集)
今期第1回倍率 0.66倍
昨年最終倍率 0.92倍(欠員募集13人)
今期説明会 5回(10・11・12・1・2月)

新座(200人募集)
今期第1回倍率 0.66倍
昨年最終倍率 1.08倍
今期説明会 5回(7・9・10・11・1月)

日高(120人募集)
今期第1回倍率 0.69倍
昨年最終倍率 1.07倍
今期説明会 4回(10・11・12・1月)

富士見(200人募集)
今期第1回倍率 0.69倍
昨年最終倍率 0.98倍(欠員募集3人)
今期説明会 5回(6・7・10・12・1月)

 ここまでの学校に比べると説明会の回数が多い。やはり回数と希望者数はある程度連動するのか。
 川越初雁は昨年ついに万年欠員募集校から脱出した。その勢いで今年はと期待したが、残念ながら今年も定員割れ状態からのスタートだ。説明会の回数は申し分ないが、ホームページでの発信をもう少し増やせるとよい。今年も欠員募集を回避できれば2年連続となるので次のステージに進めるのではないか。
 宮代は11月のホームページ新着情報発信が29件と積極的だ。内容も部活に偏っていない点がよい。普段の授業の様子も伝えるとさらに良くなるだろう。
 白岡は公式Instagramを運用するなど広報活動に努めている。ホームページにおける情報発信が部活動に偏っているのが残念なところだ。部活で選ぶ生徒が多いのだろうが、もう少し授業や普段の学校生活について発信してほしいところだ。
 日高はホームページの情報更新頻度は高いとは言えないが、授業、進路、行事など幅広く伝えようという姿勢が見える。
 富士見は、6月から説明会を開催するなど現状打破への意欲を見せた。今のところ数字に表れていないが、こうした姿勢を続ければいずれ結果に結びつくだろう。ホームページ上で入試選抜方法について、学校の考えを明確に示しているのも他校にはないもので、なかなかよいと思った。
令和6年度入学者選抜の選抜基準への思い(富士見高校校長)

 以上、ニーズは少ないと思いつつ調べてみたが、自分としては大変勉強になった。