マスコミ的には、どうしても話をそっちに持って行きたいわけだ。

 今日の埼玉新聞記事。

 共学・別学は重視する?どんな高校で学びたい? 県立高校の特色化に向け、県教委が小中学生らにアンケート

 ちなみに紙版の埼玉新聞では1面記事で「共学、別学も設問に 県立高特色化 アンケート開始」という見出しになっている。
 どちらにしても「共学・別学問題」を前面に出したいわけだ。
 これはいつも言っているように、その方が読者の食いつきがいいからだ。
 それ以上の理由はない。

 まだ確認していないが、この手の記事はヤフーニュースなどでも取り上げられるだろう。
 それでPV(ページビュー)数を稼げればしめたもの。
 今の時代、ネットでのPVを稼がなければ広告収入に響く。

 大手の新聞社は莫大な不動産をかかえているので、それで食って行くことができる。
 が、地方紙ではそうは行かない。
 
 もともと、テレビや新聞は、広告収入で成り立っているビジネスだ。
 テレビは無料だし、新聞も購読料だけではやって行けないから、とにかく広告収入が大事。
 その広告料の算定基礎となるのがテレビで言えば視聴率であり、新聞で言えば販売部数なのだが今はネットのPV数。
 「これだけ大勢の人に見られて(読まれて)いるメディアなのだから、是非広告を出してください」となるわけだ。

 新聞社は明日の埼玉の教育のことなんて、これっぽちも考えていない。
 記事が読まれるかどうか、新聞が売れるかどうか、ただそれだけ。
 だから、一番読まれそうな記事を書くし、見出しをつける。
 だが、それは誰も責められない。
 だって、そういう立場ではないのだから。

 で、かくいう私も同じ穴のむじなというやつなので、明日の埼玉の教育がどうなるかなど考えたことがない。
 
 いや待て。
 全然関係ないわけでもなさそうだ。
 たとえば、別学校が全部共学化されたら、埼玉の高校勢力図は大きく変わる。
 そして、そのような変化はビジネスチャンスだから、共学化が進めば自身のビジネスチャンスが拡大するかもしれない。

 男子校狙い、女子校狙いは一定数いる。
 この層は、東京都内に別学の超進学校・ブランド校がいまだ健在であるから、そちらに向かうだろう。
 ただ、その多くは完全中高一貫で高校募集を行わないので、では中学からということで、中学受験が広がるだろう。

 浦高と一女が合体して、共学の浦和第一、浦和第二となった場合、第一はブランドを維持するが、第二は時間をかけて凋落する。
 今は男子校トップの浦和、女子校トップの浦和一女、共学トップと大宮が、ジャンルをずらしながらトップ校として並び立っている。
 だが同一ジャンルとなれば、必ず1位から3位までの序列がつく。
 1位は確実に選ばれ、2位はギリギリで、3位は選ばれない。
 選ばれないというのは、人数が集まらないというのではなく、学力上位層に選ばれないという意味である。
 熊谷でも、川越でも同じようなことが起きる。

 もし浦和と浦和一女が合体して一つになったら、学力上位者の受け皿が一つ減ることになる。
 その場合、受け皿になるのは現在の公立3番手・4番手ではなく私立となる。
 順番が後ろの公立よりもトップブランドの私立が選ばれる。

 トップブランドだけが選ばれ生き残る。

 これは学校関係の皆さんも塾の先生方も覚えておいていただきたい。
 地域トップでもいいし、○○市でトップでもいい。
 野球でトップでもサッカーでトップでもいい。
 いずれかのジャンル、分野、カテゴリーにおいて「○○でトップ」と言える存在になることが最低限必要なのだ。
 「うちの学校、良いところ、たくさんありますよ」
 いやいや、良いところはそんなにたくさん要らない。
 極端に言えば一つでいい。
 その代わりナンバーワン。

 私とて男女の機会均等やジェンダー云々にまるで興味がないわけではないが、そこは私のフィールドではない。
 生徒募集マーケティングの視点からは、共学・別学問題はこのように見えるという話だ。