12月21日、埼玉県公立高校入試の改善案が県民コメントと共に発表された。
 内容的には10月16日に発表された素案のとおりである。

 県教委ホームページへ。 
「埼玉県公立高等学校入学者選抜方法の改善について」及び県民コメント(意見募集)の結果について

 上記ページにあるリンクをたどると、以下の図表がみられる。
 全体像がコンパクトにまとまっているので、一応目を通しておこう。

 県民コメントは122件(87人)あった。
 案件によっては1件2件ということもあるので、集まったほうだろう。
 意見を反映が反映され、案が修正されることはなかった。

 県民コメントはこちらから。
「埼玉県公立高等学校入学者選抜方法の改善について(素案)」 に対する御意見と県の考え方

 今回の主な改善点は、次の3点である。
 1 自己評価資料の提出、面接の実施
 全校で面接を実施する。
 事前に自己評価資料を提出させ、面接の際の参考とする。

 今回示された案の中で自己評価資料のイメージが示されている。

 (1)これまでの自分の体験や自己PRについて
 (2)高校入学後に取り組んでみたいこと
 (3)高校設定項目

 全校での面接実施は大きな変化である。
 だが、「面接では差がつかない(つけない)」ことになるだろう。
 時間が限られている。
 質問も限られている。
 多くの面接官を投入して行われる。
 といったことを考えると、学校側としては面接で差をつけるのは困難(だから廃止する学校が増えている)。
 それに、学力検査点と調査書点(評定のみ)は明確に数字で表され、本人にも開示される。そこで逆転が起きていたとしたら、今までだったら部活や資格の差であると説明できたが、今後はそれがないので面接の差ということになる。これ説明できるか。

2 調査書の様式変更
 調査書記載事項は学習の記録の評定のみとなる。

 変更後の調査書のイメージも示されている。

 生徒会活動も部活動も資格も点数にならない。
 自己評価資料には書けるが、それ自体は評価しない。
 面接で聞くことはあるが、前述のように面接では差がつかない(つけない)。
 となれば、少なくとも共通選抜は完全に学力勝負(学検と評定)となる。

3 選抜の特色化(共通選抜及び特色選抜)
 共通選抜(学力検査・調査書・面接」は全校が実施する。 
 特色選抜については「各高等学校は募集人員の一部を、学校・学科・コースの特色に応じて選抜することができる」としているので、実施しない学校があってもいいわけである。
 特色検査の内容は「実技検査・小論文等」となっている。
 「等」であるから、自己表現などを実施する学校があるかもしれない。

 学力検査をこれまでどおり2種類の問題(学力検査問題と学校選択問題)で実施するのであれば、特色検査の中で学力試験的なものを加える意味はあまりない。
 学力検査が1種類の問題で実施されるとしたら、上位校は特色選抜の中に学力試験的なものを加えることになるだろう。

 県全体の方向は決まった。
 あとは、これを受けて各学校がどのような設計をするかだ。