本日2本目。
埼玉県公立高校入試学力検査が終了した。
受検者総数など概況についてはこちらで確認できる。
令和6年度埼玉県公立高等学校入学者選抜学力検査における受検状況について(2月21日16時)
学校ごとの詳細データはこちら。
令和6年度 埼玉県公立高等学校における学力検査受検状況
全日制・定時制をあわせた受検者総数は、40,181人で、志願確定者の40,617人と比較すると、436人減少している。
事前取消者が279人、当日欠席者が157人いたためである。
※追加情報
入試問題・採点の手引きが公開された。
令和6年度埼玉県公立高等学校入学者選抜学力検査問題等
◆検査問題は例年通り
ざっと目を通した限りでは、大問構成、出題内容・形式、難易度等に大きな変化はなかったようだ。
これといって目新しい問題、つまり新傾向問題も確認できなかった。
ただし、私自身は教科指導(学習指導)のプロではないので、塾の先生方の分析を待とう。
以下、感想程度である。
▼国語
大問1(小説の読解)の題材は辻村深月著「この夏の星を見る」であった。
物語の中身は例によって中高生の部活動が舞台なので、その点は平常運転なのだが、この作品、2023年6月発売である。
今回の問題文には含まれていないが、コロナ禍における中高生たちの葛藤が描かれている。
出たばかりの本から出したんだ、と、なぜかちょっと感動した。
作文テーマは「持続可能な開発目標(SDGs)」であった。
いつ出てもおかしくなテーマなので、練習していた生徒もいるのではないか。
SDGs関係は昨年の社会科でも出ている。
▼数学
最近、問題文がやたらと長いなと思っていたが、今年はやや減った印象だ。
学力検査問題大問1の前半は定番の計算問題だ。数字を入れ替えただけ。
大問1(15)は数学得意なら難しくはないのだろうが、かなり時間がかかった。
大問2の作図は基本中の基本なので、できた人は多いだろうが、三角形の合同証明はちょっとてこずった。
近年は、大問まるごと確率というケースがよくあるような気がする。
データサイエンスという言葉が頻繁に聞かれる時代であるから、確率・統計をしっかりやっておけということか。
▼社会
例年正答率ワースト3あたりに必ず入って来るのが年代の並べ替え問題だ。
このところ歴史分野で1題、大問6の三分野総合で1題、計2題出ていたが今年は三分野総合の1題だけ。
しかも、並べるべき4つの出来事が安土桃山時代から大正時代までと大きく離れていて迷うところがない。
社会でちょっとビックリしたのが、昨年5月のG7広島サミットが出題されたこと。
中学入試では当たり前の時事問題が、ようやく埼玉県の高校入試にも出るようになったか。
これまで、社会で時事問題は出ないと言っていたが、改めなければならない。
中学生に対し、政治や経済、国際社会の問題に目を向けなさいというメッセージを与えているのだろう。
▼理科
大問2(地学)は天体からの出題だった。
一昨年も天体からだったので短いサイクルでの再登場だ。こういうケースもあるのだ。
月の明るさ(何倍か)を計算で求める問題だが、数学が苦手だとちょっと厳しい。
まあ、数学と理科は親戚のようなものだから当然なのだが、教科の枠を超えた問題はこれからも増えてきそうだ。
問題を解く上では関係ないが、
大問2「月について、探究的に学習しました」
大問3「動物の分類について、探究的に学習しました」
大問4「炭酸水素ナトリウムの反応について、探究的に学習しました」
大問5「斜面を下る鉄球の運動について、探究的に学習しました」
と、「探究学習」を連呼している。
やはり、そういう時代なのだなと思う。
▼英語
学校選択問題の作文は「キャッシュレス決済」だ。
金融教育の重要性が叫ばれ、これが必修となる時代だ。
ただ、それについて英語で書けというのは中学生にとってハードルが高かったのではないか。
▼全体
伝統的な出題、定番の出題を中心としながらも、ここ数年は新しい学習指導要領を強く意識した問題づくりになっている。
教科横断的な出題や今日的テーマを扱った問題はこれからも増えて行きそうだ。
以上、今日試験を受けてきた受検生にはさほど役に立たない情報だったと思う。
そこで本日1本目の記事で予告したように塾の先生方の力をお借りしたい。
【塾の先生方にお願い】
ふだんほとんどコメントが入らない個人ブログであるが、この記事に関しては是非積極的にコメントをお寄せいただきたい。
平均点はどうなりそうか。
新しい傾向の問題はあったか。
これは良問と言える問題はあったか。
ちょっと厳しめの難問はあったか。
そのあたりを中心に、専門家である皆さんのご意見をお聞かせいただきたい。
なお、その際、コメント欄の中で所属や氏名は明らかにしていただきたい。
より詳細で具体的な解説をご自身のホームページ、ブログ、SNS、YouTubeチャンネル等で展開されている場合は、そちらのリンクを貼るなどしていただいても差し支えない。
【追記】
コメント欄にある「幸彩学習塾オフィシャルブログ」のリンクです。
さらに詳しい分析が掲載されています。(21日10:30)
幸彩学習塾オフィシャルブログ
コメント欄にある「教学館オフィシャルブログ」へのリンクです。
ユーチューブ解説動画もあります。(21日10:45)
教学館オフィシャルブログ
コメント欄に収まりきらない膨大な分析があったのでこちらのサイトへ。(22日17:00)
全教科全大問について触れており、ずばり予想平均点も出しています。
小島進学セミナー【2024年度入試】埼玉県公立入試 平均点予想と問題の総評
2024-02-21 at 22:14
受験終了後に授業に来た生徒の感想なども踏まえて書いてみたいと思います。
国語は易しく感じた生徒がいたようです。
漢字についても、思ったよりはできたという生徒からの感想もありました。
個人的には大問3の問題が短くなり、時間的に余裕ができたように思います。
この時間をどこに振り分けたのか、見直しなどに充てられたのか、などが気になるところです。
逆に、理科は難しく感じたという生徒が多かったように思います。
天体の月の位置に関する問題も、問題集などにはない問題だったので、自ら考えていかないと解けない問題だったと思います。
また、月の明るさを求める問題は数学力が、最後のエネルギーの問題も思考力が必要な問題で、平均点は下がるような気がします。
社会は、梅野先生も述べていられるように、歴史の並び替えが消えたのが意外でした。近現代の並び替えは、意外と苦戦する生徒が多いので、その分、少し簡単になったのかなと思います。
理科や社会は”暗記教科”と言われていましたが、今は暗記+活用・思考力が求めれるように感じます。
どうしても英数に目が行きがちで、理社の勉強が後回しになってしまう人が多いように思いましが、実は理社で差がつく、そんな感じもしています。
用語や公式を覚えることは大切ですが、それで終わりではなく、むしろそこがスタートラインなのかな、そんなに感じました。
個人の感想は当塾のブログにも書かせていただいておりますが、その後に入った生徒からの話も含めて、コメントさせていただきました。
長々と失礼いたしました。
幸彩学習塾 オフィシャルブログ
2024-02-21 at 22:18
毎日ブログを拝見している躍進館さいたま教室の山本です。
理科の問題を解いたので、自分なりの感想・講評をコメントさせていただきます。
【令和6年度 理科 感想・講評】
全体を通して、実験の要素が増えた印象。
実験器具の使い方のみでも、
こまごめピペット・ルーペ・試験管を少し下に傾ける理由
といつもより多めの出題です。
また、大問4の正しく実験できなかった理由を選ばせたり、大問5の追加の実験を選択させたりとあまり見たことがない出題もありました。
(ただし、しっかり文章を読んで内容を捉えれば難しくはないです)
日頃の授業で、実験に積極的に参加している生徒にとっては解きやすかったと思われます。
一方で、中3になってから慌てて学習を開始し、問題集や参考書で知識をつけていった生徒には解きづらかったかもしれません。
そのため、学校選択問題校受検者や理数科受検者は、高得点取れた人が昨年と同じか増えていると予想しています。一方、理科を苦手としている生徒は少し点数を落としているかもしれません。
難しい計算問題がなかったことも併せて考慮すると平均点は、昨年とあまり変わらないと予想しています。
そして、大問1の問8では「半導体」が答えになる問題が出題されました。
教科書の本文ではなく、備考みたいに扱われている内容です。
高得点を取るには教科書の隅々まで学習しないといけないと感じました。
今回の問題を通して、中2・1・小学生にアドバイスを送るなら、
「日頃の授業を大切に!そして、実験・観察には積極的に参加しよう!!」
です。
少しでも、皆様の参考になればと思い、コメントさせていただきました。
2024-02-21 at 22:36
今年度の入試問題に関しての私見です。
問題としての難易度は例年通りだったように思います。
ただ,対話や資料など『活字』の分量が多いため,読むことが苦手な受験生には取り組みにくい問題だったのではないかと思います。
それに加えて,今までとはちょっと違った出題のされ方をしていたり,考えさせる(頭を使わないと解けない)ような出題のされ方だったり,戸惑った受験生も多かったのではないかと思います。
そのため,難しいと感じた受験生もいたのではないでしょうか。
また,応用の方向性が変わったのではないか,ということを今年度の問題を見て感じました。
従来ですと問題を複雑化させて応用していたように思います。(数学の図形や関数の問題で図やグラフを視覚的に複雑にするとか。)
しかし,問題自体は難しくないけれど,対話,ノートやレポートのまとめ,スピーチ原稿など,実生活に関連付ける形での応用(というよりも活用)が増えてきているため,「応用の方向性の変化」を感じたのだと思います。
SDGsやキャッシュレス決済の問題,時事問題などの出題も見られ,解法パターンを覚えたりひたすら暗記をしたりというような勉強の仕方では,今後ますます太刀打ちできなくなっていくように思いました。
教科ごとの細かい感想,分析ではなく恐縮ですが,今年度の問題を見て初めに感じたことをそのままコメントさせていただきました。
入試から戻ってきた生徒の話からの分析?は
教学館オフィシャルブログ
こちらで拙い動画にしてあります。
2024-02-22 at 17:14
セレクト学院 小林
英語の学力検査問題のみ取り急ぎ解いてみました(リスニングは覗く)。
大問2の単語は得点源ではありますが、by(~までに)は盲点になっている生徒が多く、意外の書けなかったのではと思います。
大問3は、文章としては例年は簡単なものが多いのですが、今回はやや難しくなったのと注釈の単語が増えたため、受験生にとっては読みにくかったと思います。
大問4は以前の長文に変わり、ここ数年続いている場面ごとに区切って問題を出しているため解きやすくなっています。ただ難しい表現(What~末尾にlike、付加疑問文など)があり、直接問題には影響しないものの戸惑った受験生も多かったかもしれません。また関係代名詞でthatを使っているケースが多かったため、読み取りにくかったかもしれません(この辺はwhichやwhoを使って読みやすくしてあげた方がいいのにと個人的には思います)。
大問5の英作文は、近年最初の指定された作文+2文以上で定着しています。以前は自由英作文として5文以上が定番でしたが、これだと、Ihave two reasons. と、First, it makes me happy. という文を覚えておけば、とりあえず2文は確保できてしまい入試問題としては具問だと思っていましたので、良かったと思っています。
平均点に関しては、毎年当たらない(作成者でも当たらないので気にはしていない)ので当てずっぽうになりますが、リスニングが例年通りだとして50点台前半位を予想しておきます。