昨日は試験問題に集中していたので、受検者数や倍率について細かく見る余裕はなかった。
 ただ、事前取り消し者や当日欠席者がいれば、その分倍率が下がるから、そこはざっと目を通す。
 その際目についたのは県立浦和(以下、浦高)の事前取り消し者42人という数字。

 令和6年度 埼玉県公立高等学校における学力検査受検状況

 浦高の事前取り消し者はもともと多いが、それにしても多すぎる。
 過去最多ではないか。
 これはぜひ調べてみよう。

◆浦高42人取り消しで倍率も急降下
 今期の浦高の志願者数、倍率を振り返ってみよう。

 ▼志願先確定時で523人(1.46倍)
 ▼志願先変更後で495人(1.38倍)
 ▼学力検査当日で453人(1.27倍)

 これはちょっと減り過ぎだろう。
 志願先確定時からでみると70人の減少、倍率は0.19ポイントの低下である。
 では、昨年まではどうだったのだろう。
 下は浦高の事前取り消し者推移グラフである。
 
 2022年度(令和2年度)までは多いと言ってもせいぜい5.6人で、倍率を動かすようなものではなかった。
 しかし、2021年度から上昇基調となっており、しかも急激な上昇だ。

◆浦和一女、大宮も過去最高
 他の学校も見てみよう。
 今回浦高以外で事前取り消し者数が2ケタ(10人以上)だったのは大宮、浦和一女の2校だ。
 
 
 共に年を追って増加しており今回が過去最高だ。
 大宮については理数科も含む推移を見ておこう。
 
 この際、上記3校以外の学校もざっと見ておこう。
 学校選択問題採用校のみで、理数科や外国語科がある場合、それも含めている。

 ▼春日部 7人
 ▼川口北 7人
 ▼所沢北 7人
 ▼所沢  6人
 ▼川越  4人
 ▼越谷北 4人
 ▼市立浦和4人
 ▼大宮北 4人
 ▼浦和西 3人
 ▼熊谷女子3人
 ▼蕨   3人
 ▼熊谷  2人
 ▼熊谷西 2人
 ▼川口市立2人
 ▼川越女子1人
 ▼川越南 1人
 ▼越ヶ谷 1人
 ▼不動岡 1人
 ▼和光国際1人
  計 61人
 
 ここまで来たら全校の推移グラフも作ってみよう。
  
 全体的にも増加傾向にあるが、増加分は浦高・大宮・浦和一女をはじめとする上位校によるものだ。

◆事前取り消し者はどこへ向かう
 いったん公立に出願しておきながら、なぜ試験を受ける前に取り消してしまうのか。
 取り消し者は一体どこに行くのか。

 考えられるのは、国立、都内を含む県外私立、そして県内私立であるが、中心となるのは国立と都内私立だろう。
 都内私立は完全中高一貫化が進み、高校からの入学枠が少なくなっているのが実情だが、高入試験を実施するとすれば2月10日が解禁日なので、ほぼ一斉にこの日に試験が行われ12日か13日に結果が判明する。お茶大付属・筑駒・筑附といった国立は数日遅れで入試が行われ15日か16日あたりに結果が判明する。
 こうした入試スケジュールであるから、国立や都内トップ私立へのチャレンジ組は、とりあえず埼玉公立に出願しておき、そのまま受けるか、取り消すかはチャレンジ校の結果次第ということになる。

 国立やトップ私立まではいかないが、都内にはMARCHレベルやそれに近いレベルの大学附属高校もある。これは埼玉には無い都内私立の魅力だ。実はそちらを第一に考えているという受験生もいる。

 つまり、今回事前取り消しした受験生たちにとって、第一希望は国立やトップ私立や有名大学附属校だったということになる。
 第一希望は国立、トップ私立、大学附属。抑えに埼玉公立。さらに念のため埼玉私立。
 ということで今日のタイトルにもあるように、一部の受験生にとって浦高でさえすでに第2志望校化しているのである。もちろん、こうした動きは以前からあった。それがさらに強まったということだろう。
 
 中学段階で中高一貫を選ぶ家庭が増えている状況に加え、今回見てきたような動き。
 埼玉の公立上位校は、いわば下からも上からも脅威にさらされている状況だ。
 
 昔からの学校はどうしても伝統にこだわりがちだ。
 それもいいが、でんとうを守りたかったらせめてLEDにかえたらどうだ。
 そのほうが持続可能性が高まる。