国公立大学一般選抜(前期日程)の合格発表は、明日10日の東大、京大が最後となる。
上位進学校としては東大合格者が何人出るかが気になるところであろう。
そこで本日は、それにちなんで大学合格実績の見せ方について考えてみよう。
見せ方には大きく二つある。
決まった言い方はないので個人的見解である。
1 広告としての見せ方
2 データ(資料)としての見せ方
まず「広告としての見せ方」であるが、これは各校の自由だ。
ホームページやSNS、パンフレット、チラシなどでどのように見せ、どうアピールするか。
各校知恵を絞ればいいだろう。
「東大〇人」「国公立〇人」「MARCH〇人」、あるいは「〇年連続」「〇%アップ」等々。
通常スペースに限りがあるから、学校側が伝えたい情報かつ受験生が知りたいであろう情報をコンパクトにまとめる必要がある。
次に「データ(資料)」としての見せ方である。
発表の場として想定されるのはホームページであるが、説明会の際の配布資料も考えられる。
ホームページはスペースの制限がないから、その気になれば、いくらでも詳細データが載せられる。
後述するが、浦高などは過去20年のデータをホームページ掲載している。
「データ(資料)としての見せ方」も、特に決まりがあるわけではなく、その意味ではどのような見せ方をしようと各校の自由だ。
広告そのままを載せる学校があったとしても、その学校の考え方として受け入れるしかない。
ただ、どこまでも詳しく載せられるホームページの特性を生かし、より詳細なデータを公表して欲しいと、個人的には思う。
◆せめてこれだけは載せて欲しいデータ
いろいろな考え方があると思うが、次の3つ(4つ)は最低限載せて欲しい。
(1)複数年データ
(2)現役・浪人の別
(3)合格者数と進学者数
(4)中高一貫の場合は、一貫と高入の別
一部の高校では、「主要大学」のみのデータしか載せないことがあるが、できれば全大学を載せて欲しい。
その上で、まず「複数年データ」。
少なくとも過去3年は欲しい。多くて5年程度か。
次に「現役・浪人の別」
近年は現役志向が強まり、浪人は減少しているが、データとしては欲しいところだ。
次に「合格者数と進学者数」。
これがあると、その学校の実態がつかみやすい。
たとえば浦高の2023年度実績を見ると、明治大学の合格者はのべ123人となっているが、進学者は13人である。
複数学部合格者がいるのと、いわゆる滑り止めとしての受験者が多いためと推測することができる。
実際の進学者数を知りたいという声は、かなり聞いているので、今後是非載せて欲しいデータだ。
中高一貫校の場合は、一貫生と高入生の結果は分けて欲しい。
高入生としては、一貫生を含むデータを見せられ、わが校の実績を誇られても困るわけである。
中学受験生も同じことだろう。
高校ホームページに「早慶現役〇人」とあるが、実はすべて一貫生によるものだったとしたら、これは虚偽広告と言っていいだろう。
◆できれば載せて欲しいデータ
上記(1)~(4)ほどではないが、次のデータも載せて欲しい。
(5)試験種別
(6)高校の学科・コース別
(7)男女別
(8)大学の学部・学科別
「試験種別」は、最低限載せて欲しいデータに含めるかどうか迷ったところだ。
近年は入試の主体が一般選抜から総合型選抜などの推薦系選抜に移っている大学も多い。
そういう意味で、どのような試験種別で合格したのかも、今後は重要になってくるだろう。
指定校推薦についても知りたいという声を多く聞いている。
公立高校の場合は学科別のデータが欲しい。
私立高校の場合は、コース制で募集している学校が多いのだから、出口の情報もコース別であって欲しい。
共学校の場合はできれば「男女別」も欲しい。
受かった大学の「学部・学科別」は、そこまでの情報を欲している人は少ないと思われるが、高校側は当然持っている情報なので、できれば出して欲しい。
◆条件を満たしている学校は
全校チェックしたいところだが、とりあえず公立の22校(学校選択問題採用校)について、上記3つ(一貫校は4つ)のデータが載っているかどうか調べてみた。
(1)複数年
(2)現浪別
(3)合格者と進学者
(4)一貫・高入の別
●浦和
(1)(2)(3)
過去データは2006年まで遡ることができる。
●浦和一女
(1)(2)(3)
進学者数は現浪別に出している。
●浦和西
(1)(2)
進学者数は未掲載
●大宮
(1)(2)(3)(6)
理数科だけのデータも掲載されている。
●春日部
(1)(2)(3)
令和4年度のみ進学者も掲載されている。
●川口北
(1)(2)
進学者数は未掲載。
●川越
(1)(2)
進学者数は未掲載
●川越女子
(1)(2)
進学者数は未掲載。
●川越南
(1)(2)
進学者数は未掲載。
●熊谷
(1)(2)
進学者数は未掲載。
過去データは平成24年度まで遡れる。
●熊谷女子
(1)(2)(3)
令和4年度のみ現浪別に進学者数も掲載されている。
●熊谷西
(1)(2) ※(8)
進学者数は未掲載。
令和4年度は国公立のみ合格した学部が掲載されている。
広告的見せ方に徹しているので目的のデータにたどり着くのに時間がかかる。
●越ヶ谷
(1)(8)
現役のみのデータで浪人は未掲載。
過去データを含め国公立・私立の合格した学部が掲載されている(ただし現役のみ)。
●越谷北
(1)(2) ※(5)
進学者数は未掲載。
人数は不明だが、指定校推薦・公募推薦で合格した大学・学部が掲載されている。
●所沢
(1)(2)(3)
進学者数は現浪別に出している。
●所沢北
(1)(2)(6)(8)
普通科・理数科別に掲載している。
過去データを含め国公立・私立の合格した学部が掲載されている。
進学者数は未掲載。
●不動岡
(1)(2)
進学者数は未掲載。
●和光国際
(1)(2)
進学者数は未掲載。
「和国の進路指導」というタイトルになっているため大学合格実績のデータが見つけにくい。
●蕨
(1)(2)
進学者は未掲載。
過去データは2年分なので、あともう1年は欲しい。
●川口市立
(1)(2)
進学者数は未掲載。
●市立浦和
(1)(2)
進学者数は未掲載。
一貫生(内進生)のみのデータは中学校サイトで見られる。
市立浦和中学校
●大宮北
(1)(2)
進学者数は未掲載。
以上である。
近年望まれている(と思われる)実際の進学者数を掲載しているのは、22校中、浦和・浦和一女・大宮・所沢と単年度掲載の春日部・熊谷女子の計6校であった。
学校として数は掌握しているはずなので、あとは公表するかしないかの判断だけだ。
大学進学を売りにしている私立は、公立よりも詳細なデータを掲載していると思われるが、次回のテーマとする。
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