学校関係者からのご質問。
 「SNSなどでは、どんな情報を流せばいいのか?」

 【回答 その1】
 試してみなければ分からない。

 例えば私のように新聞等と繋がっている者は、行事や新規性のある試みについて予告的な情報が欲しい。
 「何々が行われました」の過去形では取材に行けない。
 よって記事にもできない。
 ただ、これは少数派の例外的要望である。

 大学進学に関心が高い生徒や保護者は、進学情報が欲しい。
 部活動に熱心な生徒は、部活情報が欲しい。

 どんな情報を流したら、どんなリアクションがあるか。
 どの情報に「いいね」が付くか。どの動画の再生数が増えるか。
 すべての学校で同じ反応が現れるとは限らないので試行錯誤しかない。

 【回答 その2】
 日常生活(楽しい学校生活)を流す。

 前提として、ホームページとSNSの役割分担を明確にしたほうがいい。
 これについては以前も書いた。
 ホームページは主にストック情報。
 SNSは主にフロー情報。

 一般論だが、ホームページ比べてSNS(特にInstagram)の方がエンタメ性が高い。
 よって、難しい話はホームページに回すことにして、SNSでは肩の凝らない楽しい話題を流す。
 例えて言うなら、ホームページはニュース・報道番組、SNSはバラエティー番組。
 これから導入を考えている学校は、まずはそこから始めてみよう。

◆誰がやるか問題
 新しい試みを始めようとする際、必ず直面するのは「誰がやるか問題」である。

 写真や動画主体のSNSでは個人情報、プライバシー問題を考えなければならない。
 テロップの文言一つをとってもそこに差別的表現がないかどうかを見極めなければならない。
 もとより全体として学校のブランドイメージ向上に資するかどうかを考えなければならない。
 
 若い先生方のセンスに期待したいところだが、かれらにはこうした総合的な判断力が身についていない。
 では、幾層かのチェック体制を強化すればいいか。
 しかし、それでは時間がかかり過ぎて情報の鮮度が失われる。

 そこで、今のところの私の提案は、総合的判断力のある中堅・ベテランがやれ、である。
 センスある若手が判断力を身につけるのに要する時間と、判断力のある中堅・ベテランが撮影・編集・公開の技術を習得するのに要する時間とでは、どちらが短いか。
 断然後者の方が短い。
 70超えの爺でもできることだ。

 と言って、いつまでも年寄りがやっているわけにも行かないから、ベテランと若手が組んでやれれば理想的だ。

◆情報発信だけでは募集につながらない
 SNSなどで情報発信しても、それだけで直ちに募集につながるわけではない。

 例えば、テレビでCMを流す。
 あるいはチラシを撒く。
 お客は興味を持ってスーパーに出かける。
 広告の役割はここまでだ。

 スーパーに行ってみると、「広告の品」とか「テレビCMでお馴染み」などとポップが立てられ大量陳列されている。
 お客はここで初めて実物を目にし、手に取り、レジへと向かう。
 では、この流れを誰が作るかと言えば、広告担当ではなく、営業担当、販売担当、あるいは流通担当である。
 実際に売り上げを立てるというのは、こういうことだ。

 一生懸命情報発信しているのに生徒募集につながらないとしたら、情報の内容や発信の仕方を疑うより、営業や販売に相当するアクションが不足しているかもしれないと疑ってみたほうがいい。