注目校の動向。全3回の3回目。
 「別学校の倍率はどうか

 県内公立には、男子校が5校、女子校が7校ある。
 ちなみに私立別学校は、男子校が川越東、慶応志木、城西川越、城北埼玉、立教新座の5校、女子校が秋草学園、浦和明の星女子、大妻嵐山、淑徳与野の4校。

◆普通科平均超えは2校だけ
 第1回調査の数字を見る限り、別学校は生徒募集面では苦しい戦いを強いられている。
 1倍を超えたのは、男子校で浦和・川越・春日部の3校、女子校で浦和一女、川越女子の2校、計5校である。
 それ以外の7校(熊谷、熊谷女子、松山、松山女子、春日部女子、久喜、鴻巣女子)は1倍に届かず、今のところ定員割れ状態だ。
 1倍をクリアしている5校でも、普通科全県平均(1.23倍)を超えたのは、川越(1.39倍)と川越女子(1.24倍)の2校だけだ。
 3倍超え、2倍超えの学校もある中、寂しい結果と言わざるを得ない。

◆男子校の動向
【川越】
 概ね1.5倍を維持してきたが、令和3年度の1.38倍以来、5年ぶりの1.3倍台。
 第2回調査、さらには本番に向けては、例年並みの1.4倍台まで上昇すると考えられる。 

【春日部】
 前年同期の1.26倍には及ばないが、前々年同期の1.18倍は上回っている。
 令和3年度から令和5年度にかけて二度、1倍を割っていたことなども考え合わせれば、回復基調は維持していると言えるだろう。ただ、できれば県外勢抜きで1.2倍台を出してほしいところだ。

【浦和】
 令和3年度の1.28倍を大きく下回り、少なくともここ11年間では最低の倍率となった。
 過去のデータを見ると、第1回の倍率と最終倍率(志願先変更後)との差がきわめて少ないのがこの学校の特徴となっている。
 直近3年間では、令和5年度(1.58→1.55)、6年度(1.36→1.38)、7年度(1.50→1.48)で、上がって0.02、下がって0.03と動きが少ない。
 令和3年度の1.28倍のときは最終で1.34倍まで上がったので、その程度(プラス0.06)は上がる可能性はある。

【熊谷】
 定員320人から280人とを40人減らしたが希望者が前年同期の304人から268人と大きく減ってしまったので倍率上昇にはつながらなかった。
 定員は異なるが、ここ数年、0.9倍台から最終的には1.05~1.10倍程度まで伸ばしているので、今回も1.5倍前後まで上がる可能性がある。

【松山】
 グラフを見ても第1回に関しては完全に右肩下がりであることが確認できる。しかも今年は過去最低の0.67倍まで落ち込んでいる。
 理数科1クラスがあるが、こちらも第1回は0.93倍と苦しく普通科をカバーするほどの勢いはない。

◆女子校の動向
【川越女子】
 グラフから明らかなように第1回の倍率は完全な右肩下がりになっていたが、今回は一息ついた形だ。
 全県普通科平均(1.23倍)もぎりぎり上回った。令和5年度は1.28倍から1.36倍、6年度は1.26倍から1.30倍と本番では盛り返したが、7年度は1.19倍から始まり1.18倍止まりだった。
 今回1.24倍を最後まで維持できるかに注目だ。 

【浦和一女】
 平成31年度の1.18倍を別とすれば、第1回は1.2~1.3倍で安定していた。が、今回は少なくともここ10年間では最低の1.08倍に落ち込んだ。
 これまでにない低倍率からのスタートなので先は読みにくいが、本番に向けて少しずつ上がって行くことが多いので1.15~1.20倍まで上がる可能性がある。

【春日部女子】
 例年最終的には1倍を超える。昨年とほぼ同じスタートなので1.05倍前後まで上がると予想される。
 外国語科がここ2年間、第1回では非常に倍率が低くなっているのが気がかりだ。

【熊谷女子】
 定員320人から280人とを40人減らしたが希望者が前年同期の261人から253人に減ってしまったので倍率上昇は限定的だった。
 ここ数年、第2回から出願に向けて倍率は上昇しているので、1.05倍近くまでは行く可能性がある。

【松山女子】
 第1回は4年連続で1倍を割った。第2回調査から本番にかけて徐々に上がって行くので、今年度も最終的には1.05倍前後まで上がる可能性が高い。
 余談だが、この学校の音楽部は超ハイレベルで先般の全国合唱コンクールでも金賞を受賞した。高校野球に例えれば甲子園優勝レベル。

【久喜】
 過去10年間、第1回で1倍を超えたことはなかったが、0.8~0.9倍台は維持してきた。だが今回、平成30年度の0.65倍に次ぐ低倍率となった。
 0.6倍台からの最終1倍超えはきわめて難しいが、平成30年度は0.99倍までばん回している。その他の年度も最終的には1倍に達しているので今回もぎりぎり1倍までは上昇するかもしれない。

【鴻巣女子】
 家庭系の2学科(保育・家政科学)との併設で、普通科は80人定員。少なくともここ10年間、第1回で1倍を超えたことはなく、最終的にも1倍に満たず欠員募集を行うことが多い。
 家政科学科は何とか40人定員を確保できるが、保育は定員(40人)が埋まらない。