「早くから動く生徒とつながり続ける学校が、これからの募集を制する」
そういう話をしようと思う。
高校の学校説明会は、中学3年生を主たる対象として行われるのが普通であるが、申込みフォームを見ると、中学1年・2年・3年と学年を尋ねる学校も多く、学校側も下級生の参加を想定していることが分かる。
ところが実際には、中学1・2年生が参加しても、中学3年生と同じ資料を渡され、同じ説明を聞き、そのまま帰るというケースがほとんどではないだろうか。
中学3年生が主役なのだから、それ自体は間違いではない。参加した中学1・2年生も、そのことは理解しているだろう。しかし、生徒募集という視点から見れば、これはあまりにももったいない。
◆早く動く生徒は「気が早い」のか
高校の先生方は、高校1・2年生のうちから大学を調べ、オープンキャンパスに参加する生徒をどう見るだろうか。
「まだ早い」「受験生になってからでよい」と否定的に見る先生は少ないはずだ。むしろ、早くから将来を考え、自ら情報を集める姿勢を好ましく思うだろう。できれば、すべての生徒にそのくらいの意識を持ってほしいと考えるのではないか。
ならば、中学1・2年生で高校説明会にやって来る生徒も同じである。彼らは進路について早くから考え、自分の意思で行動している。極端に言えば、学校が中学生に求める理想的な進路意識を、すでに体現している生徒たちなのだ。
そうした生徒を、ただ説明を聞かせるだけで帰してしまうのは、募集広報として稚拙と言わざるを得ない。
◆一言の言及でも印象は変わる
もちろん、中学1・2年生だけを別室に集め、大がかりな特別プログラムを用意する必要はない。主たるゲストは、受験を間近に控えた中学3年生である。この原則は揺るがない。
だが、校長や担当者の説明の中で、「今日は中学1・2年生の皆さんも来てくれていますね」と一言触れることはできる。配布資料の一角に、下級生向けのページを設けることもできる。「今の学年で大切にしてほしいこと」「次に参加してほしい行事」「中学3年生になるまでの学校選びの進め方」など、内容は簡単なものでよい。
説明会終了後に、中学1・2年生向けの短い質問時間や校内見学を設定する方法もある。年齢に応じた小さな配慮が、「自分たちのことも見てくれている」という印象につながる。
重要なのは、特別扱いではなく、存在を認識していると伝えることである。
◆その日だけで終わらせない仕組み
さらに大事なのは、次の機会への導線である。
近年、多くの学校が年明け1月から3月に「中学1・2年生対象説明会」を開催する。ならば、4月から12月に来校した下級生に、その説明会や体験学習部活体験、授業公開などを案内すべきだろう。
ただし、行事を並べるだけでは弱い。「次はこれに来てください」「その次にはこんなことが分かります」と、段階的に学校理解が深まる設計が必要である。
中学1年では学校を知る。中学2年では教育内容や部活動を比較する。中学3年では入試や進路実績を確認する。こうした学年別の接点を設ければ、一度の説明会参加を、継続的な関係へと変えられる。
保護者への働きかけも欠かせない。中学1・2年生の参加には、保護者の高い進路意識が反映されていることも多い。生徒本人だけでなく、保護者にも今後の情報提供の流れを示しておくべきである。
◆募集は中学3年生からでは遅い
昭和から平成前半のように15歳人口が多かった時代なら、「高校選びは中学3年生の夏から」で良かったかもしれない。だが、少子化が極度に進んだ現在、その常識は通用しない。
「最近は中学1・2年生も結構来ています」と感心しているだけでは意味がない。せっかく来てくれた生徒の気持ちをその場で受け止め、次の機会につなげなければ、彼らは中学3年生になったとき、別の学校を選んでいるかもしれない。
早くから動く生徒は、学校にとって最も大切にすべき存在の一つである。受験までの長い期間を無理なく併走し、少しずつ理解と信頼を深める仕組みをつくること。
これからの生徒募集では、その設計力が学校の明暗を分けることになるだろう。

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