このようなニュースがあった。
 ご覧になった方もいるだろう。

大阪中体連がエントリー手続きミス、8選手がJOC陸上大会出場できず(讀賣新聞オンライン 2026/10/01)

 当該大会は、「U16(アンダー16=16歳未満)」の大会なので、中学生以下と、早生まれの高校1年生に出場権がある。

 大阪中体連(中学校体育連盟)担当者のミスで、エントリー手続きが間に合わず、選手たちが出場できなくなった。
 中体連側は救済措置を求めたが、大会を主催する日本陸上競技連盟はこれを認めなかった。

 日本陸連の見解はこちら。
JOCジュニアオリンピックカップ第57回U16陸上競技大会における 都道府県代表種目の申込に関する事案について

 生徒に近い側の大人、つまり保護者や学校の先生という立場からすれば、生徒たち(選手たち)に何の責任もないのだから、何らかの救済措置があって然るべきとなるだろうが、大会を運営する側からすれば、例外や特例を認め出したら収拾がつかなくなるから、ルールは曲げられない。

 ところで。
 エントリーを出願に置き換えれば、同様のケースが入試においても起こりうることが分かるだろう。
 というか、これまでにも起きている。

 そこで、こうしたミスを起さないための対策を考えておいたほうがいい。
 受験生側の最大の対策は、早めの出願ということに尽きるだろう。
 格別な理由がない限り、出願期間の早い段階で手続きすることだ。
 「締め切りまでまだ日にちがある」という油断が思わぬミスやトラブルに発展する。
 出願期間については、「まで」を意識することも重要だが、「から」も意識しよう。

◆高校側は「締め切りを告知した」で終わらせない
 では、高校側に何ができるか。
 公立高校の場合、個々の学校の工夫には限界があり、独自の方法は取ることは難しいかもしれないが、私立は可能だろう。

 募集要項には出願期間が書いてある。
 ホームページにも載せてある。
 説明会でも説明した。
 だから、あとは受験生側の責任である。

 制度上はその通りなのだが、生徒募集や学校広報という立場から考えれば、もう一歩先までやっておきたい。
 つまり、「知らせたかどうか」ではなく、「間違いなく手続きしてもらえるか」という視点である。募集広報の仕事は、知らせて終わりではなく、確実に出願してもらうことだからだ

 まず、出願期間が始まる前に改めて告知する。
 学校ホームページの新着情報、出願サイト、メール、LINEなど、その学校が持っている複数の連絡手段を使い、「○月○日から出願開始」と知らせる。
 ここでは「締め切りは○日です」だけではなく、「○日から手続きできます。できるだけ早めにお願いします」と、「から」を強調する。

◆締め切り直前にも注意喚起する
 そして締め切りが近づいたら、もう一度知らせる。

 「出願締め切りまであと3日です」
 「未完了の方は手続きを確認してください」
 こうした案内である。

 すでに手続きを終えた家庭にとっては不要な情報かもしれない。
 だが、それでいい。
 数百人、数千人の受験生の中に一人でも、「まだ大丈夫だと思っていた」「入力しただけで出願が終わったと思っていた」という人がいるなら、注意喚起する意味はある。
 特にWEB出願では、「アカウントを作った」「必要事項を入力した」「受験料を払った」「書類を印刷した」など、途中まで進んだ状態を本人や保護者が「出願した」と思い込んでいる可能性がある。
 だから高校側は、「出願してください」ではなく、
 「ここまで終われば出願完了です」
 を分かりやすく示す必要がある。

◆問い合わせが増えても構わない
 注意喚起を増やせば、「これはどういう意味ですか」「自分は出願できていますか」といった問い合わせも増えるかもしれない。
 学校側からすれば面倒である。

 だが、出願締め切り後に、
 「出願したつもりだった」
 「支払いまで済ませれば完了だと思っていた」
 「先生に任せてあると思っていた」
 などと言われるよりは、はるかにいい。

 締め切り前なら対応できる。
 締め切った後では、対応したくてもできない場合がある。
 今回の陸上大会のケースがまさにそうである。
 本人に責任がないことと、特例を認められるかどうかは別問題だ。
 入試でも同じである。

◆「自己責任」で終わらせない仕組みを  
 もちろん、高校がどれほど注意喚起しても、すべてのミスを防げるわけではない。
 最終的には受験生・保護者が期限を守って手続きをするしかない。

 だが、高校側も、「募集要項に書いてあります」、「ホームページに掲載してあります」だけで終わらせるわけには行かないだろう。
 出願開始時に知らせる。
 締め切り前にもう一度知らせる。
 手続き完了の状態を分かりやすく示す。
 必要に応じて中学校にも協力を求める。

 これは受験生を甘やかすことではない。
 入試という重要な場面で、単純な事務手続きのミスによって受験機会そのものを失わせないための、運営側のリスク管理である。

 受験生側は「まで」ではなく「から」を意識する。
 高校側は、「知らせたか」ではなく「届いたか」「理解されたか」「完了したか」まで考える。

 締め切りを守る責任は受験生側にある。
 しかし、締め切り忘れを一人でも減らす工夫は、高校側にもできる。