昨日は令和6年度入試で過去最高倍率を更新した学校について報告した。
 (ここでの倍率は志願先変更終了時点の確定志願者数・倍率を用いている)

 昨日の記事はこちら。↓
 過去最高倍率を記録した学校はどこか【2024埼玉県公立入試】(2024年2月17日)
 さて、そうなると行きがかり上、過去「最低」倍率を更新した学校も調べてみたくなる。

 まずは普通科から。
 なお、「過去最低」の「過去」とは平成31年度入試から令和5年度入試までの5年間である。

【普通科で過去「最低」を更新した学校】
▼桶川西   0.81倍→0.38倍 -0.43
▼日高・情報コース
       0.88倍→0.58倍 -0.30
▼鶴ヶ島清風 0.95倍→0.80倍 -0.15
▼深谷第一  1.11倍→1.00倍 -0.11
▼大宮武蔵野 0.97倍→0.96倍 -0.10
▼熊谷女子  1.08倍→0.99倍 -0.09
▼狭山清陵  1.09倍→1.02倍 -0.07
▼北本    0.86倍→0.80倍 -0.06
▼越谷西   1.02倍→0.96倍 -0.06
▼草加西   1.04倍→0.98倍 -0.06
▼久喜    1.09倍→1.04倍 -0.05
▼川口青陵  1.04倍→1.01倍 -0.03
▼所沢北   1.14倍→1.11倍 -0.03
▼日高    0.96倍→0.93倍 -0.03
▼栗橋北彩  0.81倍→0.80倍 -0.01
▼鳩ヶ谷   1.17倍→1.13倍 -0.01
▼飯能    1.02倍→1.01倍 -0.01

 熊谷女子がついに定員を割った。今さらだが平成31年度、令和2年度と連続して1.2倍を割ったあたりで何か手を打っておけばよかった。すでに現2年生向け説明会を開催するなど次に向けて始動しているので定員割れは今回限りとなるだろう。

 所沢北は普通科、理数科とも過去最低を更新した。まあ私の立場から言えば、説明会を一度もやらないようでは、いくら人気校と言えどもこのような結果になるということだ。今期は理数科のみ説明会を行っている。夏休みを中心に見学会も行っている。しかし、説明会は動画配信のみでリアルの(対面の)説明会は実施していない。次年度は方針転換するのか、今年の方式を踏襲するのか注目しておこう。

 上記は埼玉県立総合教育センターの説明会情報からのデータ。説明会日時の記載はない。

 深谷第一は過去5年間平均で1.21倍と安定した募集を続けていた。R6年度は1.00倍ちょうどで辛うじて定員割れは回避しそうだが、次年度に向けては大胆なアクションに期待したいところだ。

 越谷西も過去5年間平均で1.12倍とまずまずの募集を続けており、定員割れはなかった。ただ、過去5年間のうち3回は1.02、1.08、1.09というすれすれの倍率だった。こうした動きの学校はいつ定員割れしてもおかしくないということだろう。

 草加西も過去5年間平均は1.11倍で、定員割れはなかった。ただ、越谷西同様、1.04、1.06という年もあった。

 川口青陵は過去5年間平均は1.10倍で、定員割れはなかった。R6年度も1.01倍で辛うじて定員割れは回避しそうだ。ただしここも、1.04が2回、1.08が2回と低空飛行である。重ねて言うが、1.10倍以下が続くような学校は完全に危険水域に入っている。

 久喜は過去5年間平均が1.15倍で、定員割れはなかった。R6年度も1.04倍で定員は満たしている。ただし、1.09倍が2回あるので黄信号と言えるだろう。

 鳩ケ谷は過去5年間平均が1.22倍で比較的安定した募集が続いている。もちろん定員割れもない。ただし、R5年度1.17倍、R6年度1.16倍と2年連続で1.2倍を切ってきたので、早めに手を打ったほうがいいだろう。

 鶴ヶ島清風は募集人員増(200人→240人)の影響も大きいが、R6年度志願者は190人なので昨年までの募集人員であったとしても定員割れである。過去5年間平均1.03倍の学校にとって40人増はいかにも重たい。
 

【専門学科・総合学科で過去「最低」を更新した学校】
 昨日も書いたが、専門学科は募集人員が少ない(多くは40人)ので、倍率も大きく振れがちだ。
 参考資料として見ておいてもらおう。

 ざっと見た中で気になるは、工業高校・機械科4校が過去最低を更新していることだ。
 大宮工業、川越工業など校名に「工業」を冠する学校は7校ある(三郷工業技術を含めると8校)。これら7校(8校)に必ずあるのが機械科と電気科だが、定員を超えているのは川口工業・機械科、同電気科、川越工業・電気科の3学科のみである。我が国の工業化や高度成長を支えてきた工業高校の機械科・電気科であるが、産業構造の変化に合わせた改編(名称変更含む)が求められているということだろう。
 
▼久喜工業・環境科学
      0.60倍→0.38倍 -0.22
▼所沢北・理数
      1.55倍→1.35倍 -0.20
▼秩父農工科学・森林科学
      0.73倍→0.53倍 -0.20
▼川越工業・機械
      0.92倍→0.77倍 -0.15
▼芸術総合・舞台芸術
      0.88倍→0.75倍 -0.13
▼三郷工業技術・機械
      0.76倍→0.64倍 -0.12
▼誠和福祉・総合学科
      0.70倍→0.58倍 -0.12
▼鳩ヶ谷・園芸デザイン
      1.05倍→0.95倍 -0.10
▼川越工業・建築
      1.00倍→0.90倍 -0.10
▼三郷工業技術・情報技術
      0.76倍→0.68倍 -0.08
▼久喜工業・情報技術
      1.00倍→0.93倍 -0.07
▼越谷総合技術・電子機械
      0.85倍→0.79倍 -0.06
▼狭山工業・機械
      0.80倍→0.74倍 -0.06
▼誠和福祉・福祉
      0.49倍→0.43倍 -0.06 
▼熊谷工業・機械
      0.80倍→0.77倍 -0.03
▼狭山経済・会計
      0.71倍→0.68倍 -0.03
▼芸術総合・美術
      1.08倍→1.05倍 -0.03

 本日のレポートは以上であるが、いつも言っているように当ブログは学校広報や生徒募集戦略など学校側視点に立ったものである。
 倍率を以って学校の優劣を論じようとするものではない。
 もしも受験生や保護者の皆さんがお読みになっているとしたら、その点はくれぐれもご注意いただきたい。
 私は、すべての公立高校を実際に訪ねているし、授業見学なども積極的に行っている。
 倍率が低かろうが、定員割れであろうが、生徒は意欲的に学校生活を送っているし、先生方も生徒一人一人にきめ細かな指導をされている。
 
 低倍率や定員割れというのは、たまたま自分と同じ志をもった人がちょっとばかり少なかったというだけで、それによりあなたの価値が下がるわけではない。
 だから、受験生の皆さんは自分の学校選択に誇りを持っていい。いや、持つべきである。